スプレー缶を捨てるとき「穴を開けないで」 その理由は?

    自治体によって処理方法は違うが…

    札幌市で12月16日夜に起きた爆発事故。不動産店の従業員が、100本以上のスプレー缶を廃棄するために中身を放出し、湯沸かし器をつけた際に爆発が起きたと説明していることが明らかになった。

    廃棄時に、スプレー缶に穴を開けていたという報道もある。

    家庭ごみにおいて、「スプレー缶に穴を開けて捨てる」は当たり前のルールにも思える。たが、近年はそのルールが「開けないで捨てる」に変わってきている。

    スプレー缶をめぐっては、これまで、回収時の爆発事故を防ぐために「穴を開けて捨てる」ことをルール化する自治体が多かった。

    しかし、その廃棄時の「穴あけ作業」を屋内でしたことによる火災や爆発事故、中身の噴出事故が相次いで発生。

    環境省は2009年から自治体に対し例年、「穴開けをしない方向が望ましい」という風に伝えており、15年には通知も出している。

    環境省によると、2016年時点で「穴開けしない」で回収する自治体の割合は、人口50万人以上の都市においては 71%だが、市町村全体では27%にとどまっているという。

    「ガス抜きキャップ」の利用を

    もちろん、穴を開けない場合でも、中身はしっかり使い切ることが大前提だ。一般社団法人「エアゾール協会」では以下のステップが必要だと呼びかけている。

    同協会によると、ほとんどの製品では「ガス抜きキャップ」が装着されているため、それぞれのタイプに合わせてガスを抜く作業が必要になるという。

    キャップ別の作業方法はホームページ上に掲載されている。なお、その際の注意点として、以下の3点を呼びかけている。

    • 中身を完全に使い切ってから火気のない風通しの良い戸外で行う
    • 中身が残っている製品で実施すると、可燃性ガスが多量に出て危険
    • 屋内で実施すると、残っているガスが部屋にたまることがあり危険


    自治体によってルールが異なるため、改めて自治体のルールを確認する必要がある。

    札幌市も「開けない」ルール、ただし

    今回事故があった札幌市では、2017年から一般ごみでは「穴を開けず」というルールを広報している。

    一方、企業などの事務所から出る事業系ごみでは「穴を開けて」というままだ。

    BuzzFeed Newsの取材に応じた札幌市環境事業公社によると、事業系ごみの場合、一度に捨てられる量が多いため、事故の危険性が高いことがその理由だ。

    ただ、今回の事故のように100本という多量のものは、産業廃棄物の収集業者に回収を依頼する必要がある。事前処理の方法は、収集業者によって異なる可能性があるという。

    もちろん、穴を開ける際にも、「必ず使い切ってから、屋外の火の気のない風通しの良いところ」で作業をすることが大切だ。