【相模原事件】植松容疑者は彫り師に弟子入りしていた 殺意漏らして挫折

    障害者への言動が、その道を閉ざした。

    「戦後最大の大量殺人」となった神奈川県相模原市の障害者施設襲撃事件。逮捕された植松聖容疑者(26)は背中から肩にかけて刺青をしており、施設を退職した後、彫り師を目指していたことがわかった。

    BuzzFeed Newsはまず、植松容疑者が弟子入りを志願した2人の彫り師を知る男性に話を聞いた。

    そもそも植松容疑者は、学生時代から腕に刺青を彫り始めていた。

    男性によると、植松容疑者は施設を退職後、腕に刺青を彫ってもらった彫り師Aさんのところに弟子入りをした。

    その後すぐに弟子を辞めると、地元の先輩で以前から仲が良かった彫り師Bさんのところに移り、「実習生」として働き始めたという。

    「こいつ変わっているとか思ったこともないし。全然普通だったよ」

    Aさん、Bさんともに知り合いである男性は、4ヶ月ほど前、植松容疑者に会っている。Bさんのスタジオで、植松容疑者の背中の刺青の写真を撮らせてもらったという。

    しかし、植松容疑者の「実習生活」は長くは続かなかった。

    「障害者を皆殺しにしてやるとか、いつもBに言うようになったと聞いている。そんなこというんじゃねえよと慰めても、会うたびにそういう話をしていたって」

    「昔とは変わっちゃったって、Bも言っていたよ。彫り師の素質もないし、そういうことも言うから1ヶ月くらい前から、常日頃一緒にいるのをやめたらしい。もう、来なくていいよって」

    なぜ、植松容疑者は彫り師を目指そうとしたのか。

    「そもそも植松の周りがやんちゃなやつばっかりなんだよ。友達とかが彫ってるから、俺も彫ろうってなっただけでしょ。同じように、介護の仕事辞めて、こういう仕事なら俺でもできるじゃんと、甘い考えだったんじゃないの」

    BuzzFeed Newsは、一番最初に弟子入りしたというAさんにも直接、取材をした。ただ、Aさんは「私は弟子をとったことは一度もない」と否定した。

    「4、5年前に店に来ていただいたことはあります。彫り師に対する憧れとかは言ってた。変わったことはない、普通の大学生でした。それ以降は会っていない。名前と顔はなんとなく覚えていたので、今回の事件にびっくりしたくらいです」

    事実関係について、2人の話は食い違うところも多い。ただ、そこから浮かび上がるのは、刺青に対する一定の思い入れがあり、普段は「普通」に見えるという、共通の人物像だ。

    施設を退職後、彫り師を目指していた植松容疑者。実際、Facebookでは今年5月、医師法で刺青が規制されていることに反対するインターネット署名をシェアしている。

    しかしその意欲も、犯行に突き進む彼を止めることはできなかった。

    明るく、礼儀正しかった青年が凶行へと走った変化の象徴として、メディアにクローズアップされる刺青。そうした見方に対し、男性はこう語る。

    「刺青を彫ってから、変わったわけじゃない。こういう事件を起こしたやつが刺青を彫っていただけ。刺青を彫ったから、人殺ししたっていうのは違う。ただ考え方は十人十色だし、一般の人はそうは思わないかもしれないけどね」