記録的な豪雨で大きな被害が出ている福岡・大分両県。
各地で河川の氾濫や土砂崩れが相次ぎ、集落も孤立した。大分県日田市ではJR久大線の鉄橋が流されたという。7月6日の早朝から、消防や災害派遣要請を受けた自衛隊などによる救助活動が本格化している。
そんななか、東日本大震災の津波災害を受けて配備された、全国に1台しかない全地形対応車「レッドサラマンダー」が被災者救援のために出動した。
がれきの上や浸水地でも…
レッドサラマンダーは「あらゆる災害現場への人員・物資の搬送や救助救援活動」(岡崎市消防本部サイト)に活用できる特殊車両だ。
車両は2両編成で、全長8メートル。計10人を乗せることができる。
キャタピラーで走行し、「荒地、不整地、段差、溝、土砂上、瓦礫などの一般車両では走行不能と思われる災害現場や、水溜り」(同)などの現場でも、特別な装備品を着けないで済む。最高時速は50km/hだ。
東日本大震災の教訓を受け、がれきの上や津波の浸水地でも救助活動ができるようにとの狙いから、2013年3月末に愛知県の岡崎市消防本部に配備された。
同市消防本部によると▽全国の中央にあり、北にも南にも出動しやすい▽高速道路が近く、交通の便が良い、という理由で配備先に選ばれたという。
これまで災害で使われたことはなかったため、今回が初めての出動だ。7月5日午後11時前、総務省消防庁からの出動要請を受け、計8人が派遣されたという。
「少しでも早く現地に」
岡崎市消防本部の担当者はBuzzFeed Newsの取材に言う。
「1.2mの浸水地点でも走っていけるほか、不整地の走行も可能です。集落が孤立し、逃げ遅れた人たちを助ける形などが想定されます」
「人員を搬送するだけではなく、救援物資を詰め込んで走ることもできます。可能性は無限大です。1人でも多くの人を救う事ができれば」
6日午前10時前には広島県内にいる。同日中の到着を目指したいと思う。
「現地の状況は刻一刻と変わっているはず。少しでも早くという思いで向かっています。早く、活動が展開できるようにしたい」
UPDATE
岡崎市消防本部によると、レッドサラマンダーは6日午後6時40分ごろ、大分県日田市の総合体育館に到着した。今後の活動方針は、現地で検討するという。