「がれきや浸水地でも走れる」特殊車両・レッドサラマンダーが豪雨被害で出動

    全地形対応車は、東日本大震災の教訓を受け配備されていた。

    西日本で、大雨による被害が拡大している。

    7月6日夕以降には、福岡や広島、岡山、鳥取、京都などに「数十年に一度しかない重大な災害が迫っている」とする「特別警報」が発令された。

    災害支援などにあたる認定NPOピースウィンズ・ジャパンも現在、空から各地の被害状況を調査している。雨が広範囲に広がり、各地で氾濫や土砂崩れ、住民の孤立が発生しており、全容の把握には時間がかかる。

    NHKのまとめによると、7日昼過ぎの時点で14人が死亡し、45人の安否が不明だという。

    そんななか、東日本大震災の津波災害を受けて配備された、全国に1台しかない全地形対応車「レッドサラマンダー」が被災者救援のため、岡山県に出動した。

    がれきの上や浸水地でも…

    レッドサラマンダーは「あらゆる災害現場への人員・物資の搬送や救助救援活動」(岡崎市消防本部サイト)に活用できる特殊車両だ。

    車両は2両編成で、全長8メートル。計10人を乗せることができる。

    キャタピラーで走行し、「荒地、不整地、段差、溝、土砂上、瓦礫などの一般車両では走行不能と思われる災害現場や、水溜り」(同)などの現場でも、特別な装備品を着けないで済む。最高時速は50km/hだ。

    東日本大震災の教訓を受け、がれきの上や津波の浸水地でも救助活動ができるようにとの狙いから、2013年3月末に愛知県の岡崎市消防本部に配備された。

    同市消防本部によると▽全国の中央にあり、北にも南にも出動しやすい▽高速道路が近く、交通の便が良い、という理由で配備先に選ばれた。

    ちなみにその価格は、1億1千万円だという。

    「1人でも多くの人を救えれば」

    2017年7月の九州北部豪雨に続き、今回が2度目の出動だ。

    総務省からの要請があったのは7月6日夜。愛知県隊として、未明に出動した。一時隊として8名が向かっているという。

    当初は広島に向かって出動していたが、岡山県でも大きな被害が出たことを受け、場所を変更。すでに現地には到着しており、今後活動に入るという。

    岡崎市消防本部の担当者はBuzzFeed Newsの取材に言う。

    「1.2mの浸水地点でも進んでいけるほか、車両が入れないような土砂やがれきがあるところにも入って、救出や搬送活動ができます。現場がいまどういった状況かはわからないが、1人でも多くの人を救う事ができれば」