沖縄で機体を大破させる事故を起こしたオスプレイの空中給油が、1月6日以降に再開される。防衛省が発表した。
事故が起きて改めて注目を浴びたのが、オスプレイの事故率だった。機体の事故率ばかりが取りざたされるが、米海兵隊全体でもここ数年、航空機の事故率が上昇していることはあまり知られていない。
そもそも、オスプレイの事故率はどうなっているのか。
一方、海兵隊の事故率もイラク戦争を経たここ数年、上昇傾向にある。2016年度は3.29と、この15年で3番目に高い。
なぜ事故率は上がっているのか。その背景には、国防費の削減による、訓練や機体の不足があるとの指摘がある。
米軍準機関紙「STARS & STRIPES」は2016年7月の「未配備パイロットは十分な訓練を受けられていない」という記事で、この状況が続けば「クラスA事故が増加する」とまで言及。
海兵隊員向け雑誌「Marine Corps Times」も16年12月、「航空危機は続いている」との記事で、海兵隊が「長年にわたった戦争や予算削減、古い航空機の更新遅れ」に悩まされ、パイロットが十分に飛行できていない現状を紹介している。
一方、退役軍人向けニュースサイト「TASK&PURPOSE」では、オスプレイの操縦士を務めていた元海兵隊員が「ここ最近の海兵隊機事故は、パイロットの準備不足を意味している」というコラムでこの問題に触れた。
元隊員は、事故率の上昇には訓練の問題があるとし、沖縄の事故についても、パイロットが十分な訓練を受けられていなかった可能性を指摘している。
それは機体でもパイロット個人でもなく、「システム」の問題である、とも。
今回の事故原因の究明は、果たして本当に終わっているのか。
第11管区海上保安本部は事故発生後、航空危険行為処罰法違反での立件を視野に捜査を始めた。しかし、難航している。
BuzzFeed Newsの取材に答えた広報担当者によると、海保側は米軍に捜査への協力を求めているが、1月5日時点で回答は得られていないという。
捜査の壁となっているのは、日米地位協定に付随する以下の合意文書だ。
日本国の当局は、通常、合衆国軍隊が使用し、かつ、その権限に基づいて警備している施設若しくは区域内にあるすべての者若しくは財産について、又は所在地のいかんを問わず合衆国軍隊の財産について、捜索、差押え又は検証を行なう権利を行使しない。ただし、合衆国軍隊の権限のある当局が、日本国の当局によるこれらの捜索、差押え又は検証に同意した場合は、この限りでない。
米軍が協力すると言わない限り、日本側が独自に事故を検証するのは、不可能に近い。
一方、防衛省はサイト上で、訓練の再開に際する米軍側の説明に、こう「理解」を示している。
米側においては、接触を引き起こした可能性のある各種要因に有効であると思われる対策を幅広くとっており、昼夜ともに、空中給油の再開に当たっては、慎重かつ段階的なアプローチがとられ、搭乗員だけでなく整備員に対しても幅広い教育を行った上、シミュレーターによる空中給油訓練をしっかりと行ったことから、安全に空中給油を再開する準備は整ったものと考えられる。
その上で、米側からは、空中給油は、日本の防衛とアジア・太平洋地域の平和と安定にとって欠くことのできない活動であり、搭乗員は、空中給油の実施により、その技能と練度を維持する必要があるとの説明を受けており、防衛省としては、飛行の安全が確保されることが大前提ではあるが、空中給油の重要性を理解する。