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「何度抗議しても、何も変わらない」翁長知事が語った沖縄と本土の”溝”とは

BuzzFeed Newsの単独インタビューに答えた。

小学校に、ヘリの窓が落下した。

沖縄で相次ぐ米軍の事故。こうした状況に抗議するために上京中の翁長雄志・沖縄県知事が12月15日、BuzzFeed Newsの単独取材に応じ、「抗議を繰り返しても何も変わらない。日本政府には当事者能力がない」と政府の対応を批判した。

沖縄では12月13日、宜野湾市の普天間第二小学校の校庭に米軍ヘリCH53Eの窓が落下する事故が発生。児童1人が軽い怪我をした。

1年前の同じ日には、名護市沖に輸送機オスプレイが墜落。2017年10月には、県北部の民間地で同型のヘリが炎上。12月7日にも保育園の屋根に同型ヘリの部品が落下する(米軍は飛行中の落下を否定)トラブルが起きている。

相次ぐ米軍の事故を受け、翁長知事は政府や米国大使館などへの抗議のため、14日から上京していた。

15日夕方に首相官邸を訪れる翁長知事は、BuzzFeedの取材に「もう何百回も抗議をやっている。こういった類の事故は、県民として許せないもの。その重大性を、心の底から認識してほしいと政府に伝えたい」と語った。

事件事故のたびに実施している抗議のあとには、政府側から必ずのように▽基地負担の軽減▽県民に誠心誠意に寄り添う▽米軍に原因究明と再発防止を訴えるーーという3点を伝えられる、という。

「その繰り返しで、世の中が何も変わっていないという実情がある。ただただ虚しさと、いつまでこの(本土と沖縄の)溝が深く、広いまま縮まらないのか、ということを考えている」

「戦後レジームからの脱却ではなく、完成」

また、このような事件事故が繰り返されている背景には、日本政府の「当事者能力のなさ」があるとも指摘した。

日本政府は、日米地位協定など米軍が優位に立つ現状に「異を唱えられていない」と批判。その背景には、北朝鮮情勢や中国の台頭に対応するため日米安保体制を強化したい政府が、沖縄にその負担を強いている、との見方を示した。

「安倍政権は『戦後レジームからの脱却』『日本を取り戻す』というが、現実的にはアメリカの傘の中で生きていく道を選んでいる。むしろ『戦後レジームの完成』を目指しているのではないでしょうか」

「そういった状況下で、沖縄は日本の安全保障において大きな役割を果たしている。しかし、米軍に関する事件事故が相次いでいても、日本政府も米軍も無関心なまま。私たちが何かに反対すれば、バッシングが集まるようにもなっている」

こうした状況は「知事として、受け入れられるものではない」という。

「沖縄は日本政府と米軍という2つの大きな権力に挟まれ、歴史的にも自己決定権や平等権がない立場にある。私は日米安保体制を認める立場にいるが、『沖縄だけ我慢してくれ』ではなく、日本全体でこの負担について考えてもらいたい」

BuzzFeed Newsは、インタビューの詳報を年内に順次掲載する。