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沖縄知事選候補めぐり拡散 「給食無償化を掲げて値上げした」は本当か?

ネット上で拡散している情報のひとつだ。

沖縄県知事選挙(9月30日投開票)をめぐり、ネット上でのそれぞれの候補へのネガティブキャンペーンが加熱している。

その中で、無所属新人で元宜野湾市長の佐喜真淳氏=自民、公明、維新、希望推薦=が「市長時代に給食費無料を掲げて当選したが、結果として値上がりした」という言説が拡散されている。

結論からいうと、これはミスリードだ。BuzzFeed Newsは、ファクトチェック を実施した。

国会議員らが拡散

2012年から今回の知事選に立候補するまで、佐喜真氏は、宜野湾市長を二期務めていた。

最初の市長選で掲げていた公約のひとつが、小学校給食費の段階的無料化だった。当時の琉球新報(12年1月21日)にも、以下のように記されている。

福祉・教育で「市内公立小学校の児童の給食費を段階的に無料化する」との考えを示した。

今回の選挙戦においても、佐喜真氏の公約のひとつに「子どもの給食無償化」が掲げられている。

これに対し、「当選したら給食費を値上げした」「嘘の公約」などとの指摘がネット上で相次いだのだ。

山本太郎・参議院議員が指摘しているほか、伊波洋一・参議院議員や、対立候補の「応援チーム」などのアカウントが拡散している。

実質負担は値下がりしていた

たしかに宜野湾市では、2017年度に小中学校の給食費を値上げしている。

小学生3900円が4300円に400円値上げされ、中学生4300が円が4900円になった。同市給食センターによると、「食材費の高騰」が原因だった。

ただ、これだけをもって佐喜真氏が公約を破ったとは言えない。

なぜなら、小学校に限ってみれば、宜野湾市立小に通う児童を対象にした給食費の助成制度が2013年度から始まっているからだ。

1年目は1900円が、2年目からは1950円の助成が始まり、実質半額となった。4300円に値上げされた2017年度以降は、2150円の助成がされている。

同センターによるとほぼ全世帯が受給しているといい、担当者はBuzzFeed Newsの取材に「保護者の観点からみると経済的負担軽減にはなっている」と語る。

段階的無償化を進める方針だったが、予算確保が難しい状況が続いており、半額助成に止まっているという。

今回の公約でも「給食無償化」


もちろん、中学生の子を持つ保護者からすれば、給食費の負担が上がっていることには違いない。しかし、佐喜真氏は市長選の当初から「小学生」の「段階的無償化」という公約を掲げていた。

助成制度が始まり、小学生の保護者にとって実質負担額は下がっている。「値上げして公約を破った」という主張は、ミスリードであると言える。

この情報の拡散はネットだけに限らないようだ。実際、BuzzFeed Newsが街頭で声を聞いた那覇市の女子大学生(19)は以下のように語っている。

「(佐喜真氏は宜野湾市長選で)ディズニーリゾートの誘致を実現します、とも言っていたし、今回も本当に(公約を)実現するのかなって疑問です。あと、給食費を無料にすると言っていたのに、値上がりしたという話を聞きました」

なお、今回の公約で佐喜真氏は、「県内の子どもの保育費や給食費、さらに医療費(高3まで)の無償化を目指」す、としており、給食費については年次に言及していない。


BuzzFeed Newsは沖縄県知事選に当たり、政治家の発言やメディアの報道、ネット情報などを検証する「ファクトチェック」を実施します。

NPO団体「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」が開催する「FactCheck沖縄県知事選2018プロジェクト」にも参加しています。

メール(japan-report@buzzfeed.com)やTwitterのDMなどで、ぜひ情報をお寄せください。

UPDATE

この記事は2018年9月26日11時21分に公開したものですが、システム上エラーのためにURLを変更し、改めて掲載しました。