2月1日、航空自衛隊松島基地に勤めていた一頭の犬が、亡くなった。

イズ号は「警備犬」として、隊員とともに基地を守る任務にあたっていた。

しかしその1ヶ月後、宮城県東松島市にある松島基地は東日本大震災による津波に飲まれ、甚大な被害を受けた。

震災後は広報活動に従事するなど、「基地の復興に尽力」したイズ号。

震災を生き延びた警備犬も、いつしかイズ号だけに。そんな最後の一頭が亡くなった。

名前はイズ号。享年12歳、人間にすれば89歳の大往生だ。
名前はイズ号。享年12歳、人間にすれば89歳の大往生だ。
同基地がTwitterに「長い間ご苦労様でした」と投稿すると、3千近くリツイートされ、注目された。
航空自衛隊では、それぞれの基地の特性に応じた訓練を受けた200頭の警備犬が活躍している。
イズ号はもともと埼玉県の入間基地で活躍していたが、松島基地の隊員に見初められて、2011年2月に配備されたという。
担当者に従順でとにかく真面目。「学級委員のような警備犬」だったそうだ。
津波では、イズ号たち、警備犬が暮らす犬舎も冠水。
水が引いた震災翌日、担当係長が泥水に浸かりながら犬舎に向かった。奇跡的に、ほとんどの警備犬は自力で泳ぎ切り、助かっていたという。
BuzzFeed Newsの取材に対し、現在の担当者は当時の状況をこう説明する。
「助かった警備犬たちは泥だらけになりながら怯え、ふるえていました。直接声をかけると安心したのか、一斉に吠え出しました。全滅したと思っていた係長は、その状況を見て涙しました」
基地の復興が終わるとともに現役を退いた。引退後も高齢でありながら、元気に走り回っていたという。
担当者はこんな思いを寄せた。
「一言で言い表せませんが、イズ号には感謝の言葉しか思い浮かびません。辛い時期も一緒に乗り越えてきました。もはや家族同然だと思っています」
「今でも隣で一緒に訓練しているかのようです。松島基地の復興をともに歩んだイズ号、ありがとう。今までがんばった分、ゆっくり休んでほしいと思います」
Kota Hatachi kota.hatachi@buzzfeed.com に連絡する.
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