横浜市で3年おきに開催される国際芸術祭「横浜トリエンナーレ」に関わる演出家・市原幹也氏が、自身の立場を利用し女性に性的関係を迫るなどのセクハラをしていたとして、謝罪した。
告発がTwitter上で相次ぎ、その内容を認めたものだ。BuzzFeed Newsがトリエンナーレに対応について取材したところ、契約を解除したという。
市原幹也氏は、福岡県北九州市「劇団のこされ劇場」を主宰する演出家。
自身のホームページによると、同市の商店街に「民間劇場を立ち上げ、地域に密着した運営と創作」に携わってきたという。
日本演劇教育連盟の「演劇教育賞」(2013年度)などの受賞歴を掲げており、2013年からは「横浜トリエンナーレ」サポーター活動の年間講師を務めている。
トリエンナーレを担当する横浜市文化プログラム推進課によると、「トリエンナーレサポーター事務局」の業務を委託しているNPO法人が、市原氏と外務委託契約を結んでいた。
ワークショップやミーティングにおける司会進行、ファシリテーターの役割を務めていたという。
「私たちの夢を性欲の捌け口にするな」
自らが受けた性暴力について語り、連帯する「#metoo」の動きが広がる中で、市原氏が、Twitter上でセクハラを告発された。
作家・ブロガーとして活躍するはあちゅうさんが、電通在籍時代に受けたセクハラ・パワハラをBuzzFeedに実名で証言したことを機に「#metoo」はさらに多くの被害者による証言に繋がっている。
このハッシュタグを使い、市原氏からの被害を訴える内容が、Twitterに複数投稿されたのだ。
ある女性は、写真展のモデルに応募したら連絡があり「俺と寝たら売れさせてやる」と言われた、などと投稿。
別の女性は高校時代、「僕は歌も見てあげられる」と誘われたカラオケの個室で「一人でするの手伝ってくれたら、仕事を紹介してあげる」と言われた、と記した。
この女性は「私たちの夢を性欲の捌け口にするな」と、その傷ついた心情を吐露している。
市原氏は謝罪
市原氏側は12月19日、自身のホームページ上に謝罪文を掲載した。「告発の内容には、心当たりがあります」として、ハラスメントを認めている。
自身の行為について「心から重大に受け止め責任を感じて」いるといい、「他に私の言動によって精神的苦痛を与えた方がいらっしゃる可能性」を考え、過去の言動を省みているとも記した。
Twitterにおいて、私が過去に何人かの女性に対して立場を利用し性的な関係をせまるなどして恐怖を感じさせ、また演劇界に抱いていた夢に対して失望させたという告発がなされました。
告発された内容と、また告発がなされるまで自分の側からは沈黙していたことについて、心から重大に受け止め責任を感じております。
与えた精神的な被害については十分に謝罪をしたいと考えています。
当時自分の認識が未熟でありましたが、当世の流れや皆様からのご指摘からも学び大変反省しております。
これを機に改めて自分を見つめ直し、このようなことが起きないようにしっかりと考えていきます。
これまでにも他に私の言動によって精神的苦痛を与えた方がいらっしゃる可能性を考え、自分の過去の言動を省みています。
トリエンナーレ側は契約打ち切り
横浜市文化プログラム推進課は、BuzzFeed Newsの取材に、業務委託をしているNPO法人側が市原氏への聞き取り調査をしたうえで、12月20日付で契約を解除したことを明らかにした。
トリエンナーレ担当課長は、「本人が認められた行為は許されるものではなく、非常に残念なことだと思っている」と話した。
NPOの聞き取りに対し、市原氏は、トリエンナーレのワークショップ参加者やボランティアへのハラスメント行為を否定している。現段階では、市やNPO側への訴えもないという。
また、告発の中には「横浜市主催の写真展」に関連してセクハラを受けたというものもあった。この点については、そうした写真展があったかどうかも含め、事実を確認中という。返答があり次第、追記する。
UPDATE
横浜市文化プログラム推進課によると、市原氏が聞き取りに対し「覚えがある」とした展覧会は、民間主催のものであり、横浜市が主催や共催、後援などの形で関わっているものではなかったという。
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