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「出産は無料にすべき」との声も。岸田首相が「出産一時金42万円」の増額に言及、SNSの反応は…

出産費用は帝王切開などの医療行為を伴わない場合、自費負担となる。こうした状況から、健康保険から「出産育児一時金」が支給されている。現在は42万円とされているが、妊産婦側が自己負担を強いられている現状が指摘されていた。

出産時に42万円が支給される「出産育児一時金」について、岸田文雄首相は5月26日の衆議院予算委員会で、引き上げを目指す考えを示した。

一時金をめぐっては、出産費用のほうが高い水準の状態が続いており、高額の自己負担を強いられているケースも多くあることが問題として指摘されている。

27日朝にはTwitterで「出産一時金」がトレンド入り。「出産や妊婦健診の無償化を」などと求める声もあがった。

前提として、出産費用は帝王切開などの医療行為を伴わない場合、全額自己負担となる。補填するため、健康保険から「出産育児一時金」が支給されている。

一時金の額は公立病院の出産費用の平均額がもとに算定されており、現在は42万円とされているが、厚生労働省の調査(2019年度)でも10万円近くの乖離があり、妊産婦側が高額の自己負担を強いられている現状が指摘されていた。

任意団体「子どもと家族のための緊急提言プロジェクト」では今年4月にネットアンケート(2018年1月以降の出産を対象、有効回答1228件)を実施。

それによると、42万円以下で済んだ人は全体の7%で、多くは帝王切開などで保険適用されていた。一方で61万円以上(自己負担19万円以上)だった人は47.3%と回答者の半数近くを占めた。

また、71〜80万円の人は11.1%、81万円以上の人も首都圏を中心に14.6%いた。「42万円」では賄えていない現状が浮き彫りになった格好だ。プロジェクトでは国に対し要望書を提出。特に以下の点を求めていた。

「妊娠・出産を無償化すること。仏英北欧などと同様に、医療保険適用と
し、自己負担をなくす検討に着手するとともに、当面は出産育児一時金
(42万円)を実態に合わせて速やかに増額すること」

自民党の議員連盟は「40万円半ば」までの増額を4月に求めており、今回の岸田首相の答弁はそれに呼応したものだ。5月26日の衆議院予算委員会では、自民党の国光あやの議員の質問に対し、以下のように答弁している。

「少子化の進展は我が国の社会経済の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題であると認識しており、妊婦の方々が安心して出産できる環境を整えることは重要。出産育児一時金は順次引き上げられ42万円になっていますが、さらに努力をしなければならないと認識をしています」

そのうえで、現状実施している実態調査を踏まえた引き上げとともに、サービスやコストを選択できる仕組みを考えていく必要があると言及した。

「子育て予算倍増」はどうなる?

一方、SNS上では一時金の値上げに対し、「『出産は無料』にすべきだと思います」など、妊婦健診を含む出産・妊娠費用の無償化や保険適用を求める声も。

また、一時金の引き上げに伴い、医療機関がさらに出産費を値上げしてしまうことへの懸念を示す指摘もあった。

さらに、子育てにかかる様々な費用の負担が大きいして、0〜2歳児の保育料や教育費や児童手当の所得制限などについて改善を求める要望もあがっている。

日本の子ども・子育ての財源はGDP比1.65%(2018年度)ほど。3%前後のフランスやイギリスなどよりも低い。

岸田首相はこの「予算倍増」を掲げているが、具体的な予算内容、金額については来年4月に発足する「子ども家庭庁」で整理していきたいとしている。