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【検証】小池知事の「(衆院選立候補)最初から100%ない」発言は本当か

BuzzFeedの検証で、この発言は不正確であることがわかった。

BuzzFeedは衆議院選挙に向け、政治家の発言やメディアのニュース、ネット情報などが本当に正しいか、検証企画を始める。

最初の検証対象は「希望の党」代表の小池百合子都知事の10月2日の発言。都議会最終日の5日をもって知事を辞職し、国政に復帰するのではという憶測が飛び交う中で、読売新聞などのインタビューにこう明言した。

「私は最初から出馬しないと言っている。100%ない」

結論から言うと、この発言は不正確だ。以下、小池都知事の発言の変遷を追う。

当初は明言をしていなかった

たとえば、9月20日。若狭勝衆院議員が新党結成を表明した際、報道陣から衆院選への出馬の可能性を問われ、小池知事はこう答えている。

「うーん……。私はこれから都政でいろいろとやらなければならないことがあると思います。いろいろな想定外、想定内があると思いますが、都にとって、国にとって何がいいのか最善の方法を考えていきたい

出馬について「想定外、想定内がある」と肯定も否定もしていない。各紙は「否定せず」「国政復帰に含み」などと報じた。

さらに9月25日、小池知事自らが「希望の党」の結成を表明した日。この時の会見では、「国政に挑むことは一切ないのか」と問われ、こう答えている。

「私自身は今、都政として重要な役目を担っている。都民の皆さんに『都政でがんばれ』と票をいただいている。そして一つずつ、これまでの課題に目星をつけながら、これから前に進んでいる」

「それに当たって国政の壁がドカンとあるので、改革勢力がしっかりと国政において臨んでほしい」

都政をしっかりと進めながら、都政を進めるために国政の改革速度をさらに上げていきたいという認識に立ち入っている

ここでも「一切ないのか」と問われているにも関わらず、はっきりと否定をしていない。明言を避けている。

結党後に微妙に変化

しかし、9月27日の「希望の党」結党会見では、曖昧な姿勢に変化が出ている。

「衆院選に打って出るという臆測もある」との質問に対して、「都知事として」という言葉を強調しながら、こう言って都知事を続ける姿勢を表明した。

「現在も都知事でございます。しっかりと都知事としての役割を果たし、これからも2020年のオリンピック、パラリンピックに向けた準備を都知事として進めていきたい

「都知事が先頭になって日本全体を変えて、守っていくことをアピールしたい。あくまでも都知事として、希望の党の代表としてこの戦いに臨んでいく

出馬に否定的だが、10月2日のように「100%ない」と明言はしていない。

ちなみに「将来の国政復帰」を問われた際の答えは、やはり曖昧だ。肯定も否定もしていない。

「いまはこの選挙において仲間の候補者が一人でも多く当選するために頑張っていきたい」

翌9月28日に日本記者クラブで開かれた会見では、自らその話題を取りざたし、こう否定している。これまでより強いトーンに変わっている。

「私がまた国政に戻るんじゃないかということで、今日もテレビ、朝から晩までそのことで、『後継は誰が出る?』までいろいろと賑わっておりますけれども、私は今の国会が変わらない限りは都政でしっかりがんばる。でなければ、同じことをまた繰り返すだけ」

「前から言っているじゃないですか!」

それでも憶測は止まなかった。9月29日には、菅義偉官房長官が「私は出てくるんじゃないかなと思っている」と語っている。

小池知事はこの日、出馬について報道陣に問われると、「前から言っているじゃないですか!」と気色ばんで否定したという(朝日新聞)。

さらに都民ファーストの会の都議には、「ただの国会議員なんて、私はもういい」と漏らしたという(同上)。

世論の反応は

JX通信社が9月30日と10月1日に実施した世論調査では、小池知事の辞職と国政転身については、「どちらかと言えば反対する」(26%)または「大いに反対する」(46%)と、否定する意見が72%と多勢を締めた。

読売新聞の緊急世論調査(9月30日)でも、「都知事の仕事に専念すべき」が62%、「希望の党の代表と都知事の兼務を続けるべき」は21%で、「都知事を辞職して、衆院選に立候補すべき」は12%だった。

「風を読むのがうまい」と評される小池知事。世論の逆風が10月2日の「100%ない」という発言につながったのかもしれない。

小池知事は、10月5日朝にも改めて、出馬を否定した。同日中に民進党の前原誠司代表と都内で会談し、判断を下すという。

ただ、前原代表は産経新聞のインタビュー(10月5日付)に「今はそうおっしゃっても、高度な政治判断が行われると思う」と答えている。

希望の党全体としては、いまだ含みを持たせている状況だ。


BuzzFeed Newsは政治家の発言やメディアの報道、ネット情報などを検証する「ファクトチェック」を実施します。メディアや有識者による連合組織「ファクトチェック・イニシアティブ・ジャパン(FIJ)」とも協力しています。

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