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常岡さんがイラク北部で拘束された ジャーナリストが危険地に入る理由

安田さんはいまだに行方不明のまま

イラク北部のクルド自治政府当局に身柄を拘束されている、ジャーナリストの常岡浩介さん。クルド系メディア「ルダウ」は11月3日、常岡さんが「ISのリーダーの通訳をしていた」と報じた。

いったい、何が起きているのか。

産経新聞などによると、常岡さんが身柄を拘束されたことが明らかになったのは、10月31日。ISの拠点都市・モスルを奪還するイラク軍などの作戦を取材するため、現地を訪れていたという。

政府は、在イラク日本大使館を通じて常岡さんとの面会を呼びかけている。近く日本側に身柄が引き渡されるという報道もある。

長崎放送を経てフリーランスになった常岡さんは、これまでシリアやチェチェンなどでの取材経験がある。2010年には、アフガニスタンで武装勢力に約5ヶ月間、身柄を拘束された。

10月24日には、テレビ朝日「報道ステーション」で常岡さんによるモスルの現地レポートが報じられたばかり。本人もこの日、Facebookにこのような書き込みをしており、26日まではTwitterを使っていた痕跡もある。

クルド系メディア「ルダウ」は11月3日、常岡さんが「ISに関わった疑いで、司法当局の逮捕状に基づき、反テロ機関によって逮捕された」と報道。

当局者の話として、「日本でイスラム聖職者の説得を受けてラッカに行き、ISリーダーの通訳を務めた。名誉勲章をもらったこともある」とまで伝えている。

すでに日本大使館にはこの情報がもたらされており、自治政府と大使館が共同で対応に当たるという。

常岡さんはこれまでも、自らがISに人脈があることを公にしていた。後藤健二さんが拘束された時には、「イスラム国と交渉ができる、活用を」と訴えていた一方、日本でも警察の捜査対象になったこともある。

それだけの関係があるからこそ、ISが支配する地域での報道も続けてこられたという面もある。

一方の安田さんは

日本人では、同じくジャーナリストの安田純平さんが、昨年6月、シリアで過激派組織「ヌスラ戦線」に拘束された。

今年5月には「助けてください これが最後のチャンスです」と書いた紙を持った、安田さんとみられる男性の画像がインターネット上に投稿された。

その後、政府の対応や報道の特段の進展は見られていない。

菅義偉官房長官は会見で、常岡さんの件について問われ、こう語っている。

これらの地域には、いかなる理由があったとしても渡航しないようにお願いしたい。

ジャーナリストは、紛争地域からも情報を伝え続ける。BuzzFeed Newsも可能な限り安全を確保しつつ、記者がイラクやシリアからの報道を続けている。

【モスル奪還作戦】民間人の中に潜むIS。その恐怖からイラク軍は逃れられない

後藤健二さんたちがISに殺害された事件は記憶に新しい。危険をゼロにするのは難しいことだ。だからと言って、誰も取材に行かなかったら、私たちはそこで何が起きているのか知ることができなくなる。