異例の自民党コメント。しかし指導は「徹底されたとは言い難い」杉田議員への対応に批判も

    LGBT当事者の区議などでつくる「LGBT自治体議連」が声明文を発表した。

    月刊誌「新潮45」に「(LGBTは)生産性がない」などと寄稿した自民党の杉田水脈・衆議院議員(比例・中国ブロック)。

    自民党本部が8月2日に杉田議員を「指導」したと発表したことについて、LGBT当事者の区議などが「指導が徹底されたとは言い難い」とする声明を出した。

    杉田議員は「メディア向け」にコメント

    この問題をめぐっては、自民党本部が8月2日、ホームページ上に「LGBTに関するわが党の政策について」とする異例の見解を掲載

    杉田議員については、「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた」と言及。「今後、十分に注意するよう指導した」としている。

    一方で杉田議員本人は報道各社に、以下のようにコメントした。

    「自民党性的指向・性自認に関する特命委員会の古屋圭司委員長からご指導をいただきました。真摯に受け止め、今後研鑽につとめて参りたいと存じます」

    自民党の対応に一定の評価も…

    こうした動きに対し、LGBT当事者の区議などでつくる「LGBT自治体議連」の声明文では、「異例ともされる自民党からのコメントには一定の評価をします」と言及。

    そのうえで、「自由民主党の指導が徹底されたとは言い難い」とし、「メディア向けのコメント」だけを公表した杉田議員による謝罪や寄稿文の撤回が必要だと指摘している。

    寄稿文により傷つけられたLGBT当事者、子どものいないご家族や女性、障碍や病気などにより経済的自立が困難な人々に対して、謝罪や撤回をするべきだと考えます。国会議員としての説明責任も、なお果たされていないと考えます。

    自由民主党においては、引き続き責任ある公党として必要な対応や処分を行うよう、強く求めるものです。

    別の自民議員も「同性愛は趣味」と発言

    また、今回の問題発覚後、自民党の谷川とむ議員(比例・近畿ブロック)が「同性愛は趣味のようなもの」とネットテレビ「AbemaTV」で発言したことなど、「所属議員からのLGBTに関する理解が不十分な発言や差別的な発言」が相次いだ、と批判。

    「誤解に基づく偏見の根強さ」が露呈しているとし、党本部による「具体的な行動」が必要であると求めた。

    自由民主党は、所属議員による誤解や偏見に基づく差別を払拭するための研修をすみやかにかつ継続的に実施するなど、具体的な行動を求められており、当事者やそれに呼応する国民の声を真摯に受け止めた対応を求めます。

    警備員による「拒否」もあったが…

    LGBT自治体議連は、約5千人(主催者発表)の抗議活動が自民党本部前で開かれた7月27日夜、党本部に直接、抗議声明を提出している。

    声明を持ち寄った区議4人は、党本部の建物内に入ることはできなかった。

    声明については事前に党本部側に連絡をしており、「時間外」を理由に警備員対応とされていたが、当日は警備員に一度受け取りを拒否され、最終的には受け取ってもらったという。

    この声明では、「所属議員に対する啓発」や「性的指向や性自認に関する国民の尊厳を傷つけ、否定する発言を行う場合には責任ある公党として必要な処分を行うよう」求めていた。党本部には、改めて8月1日に同様の文書をFAXで送っているという。

    自民党本部政務調査会の担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、「(警備員の拒否など)当日のやりとりについては把握していませんが、正式に受け取りをしています」と答えた。

    ホームページ上にアップした見解については、議連の声明や抗議活動などを受けたものであるとし、「そうしたご意見を包括的に捉え、LGBTに関する政策に取り組んできた党の考え方を公表しました」という。

    そのうえで今回の声明については、「見ていないためにコメントはできないが、見解は(2日に)掲載した通りです」としている。

    一方、ゲイであることを公表している石川大我・豊島区議は、「これまでも、議連には個別に回答は来ていない。今後も対応を求めていきたい」と話している。今後、党本部への提出をする予定という。