【都知事選】猪瀬元知事が予言する「戦争」 小池さんは都議会とどう向き合うか

    「逆襲してくると思います」

    猪瀬直樹元都知事が、当選を決めた小池百合子氏にテレビ中継でこんなエールを送った。「本当にがんばってください。これは戦争になると思いますので」

    いったい、どういう意味なのか。

    猪瀬氏が小池氏の「戦争」の相手と見ているのは、「都議会のドン」と評される自民党都連の内田茂幹事長だ。

    「議会が『ボス政治』によって動かされているとしたら非常に問題だ」と、内田氏を番組で批判した猪瀬氏。小池氏が、自民党都連が多勢を占める都議会との対決姿勢を明確にしていることに、エールを送った。

    「小池さんがおっしゃっていることは重要なこと、僕自身も大きな壁にぶつかったので、頑張っていただきたい」

    ただ、こんな警告とも取れるような言葉も、つぶやいた。

    「逆襲してくると思います」

    内田氏は、今回の「自民分裂選挙」に際し、増田氏以外の候補を応援した自民党の所属議員と親族は、除名処分の対象になるという文書を出している。

    「北朝鮮みたいですよね」と批判した猪瀬氏は、自民党が支援した増田寛也氏の敗因がこの文書にあるとも指摘する。締め付けが反発を呼んだとの見方だ。

    「猪瀬さんは都知事のとき、それを明らかにしなかった」。番組MCだった池上彰さんが、都知事時代になぜ、都議会の実態を公にしなかったのか問われると、猪瀬氏はこう答えた。

    「できる限り表にでない人で、あんまり有名ではない。それを言っても、どこのメディアも雑誌も取り上げてくれない。都議で自殺した人がいて、(私が)ネットでアピールをしたら広がった」

    その上で、「今回はネットの力で(内田氏に)光が当たり、小池さんの力になった」とも言う。

    「ネットの力が大きなウェイトを占める選挙だった。具体的に内田都連幹事長という名前が出て、週刊誌にも出るようになった」

    当選が決まった小池氏と中継でつながった猪瀬氏は開口一番、「がんばってくださいね」と語りかけ、小池氏も「猪瀬さんに、御指南いただきたい」と応じた。

    猪瀬氏は番組の最後、こう語った。

    「舛添政権はいわば、傀儡政権だったんですね。ここでもう一度(都議会を)透明化するために、小池さんが当選した。引き続きがんばっていただき、側面から協力していきたい」

    当の内田氏はこの日、増田陣営の選挙報告会に姿を現したが、マイクを握ることはなかった。

    報道陣には「完敗でしょうね」「みんな責任を感じている」とだけ語るのみ。そのほかにぶつけられた質問には一切答えることなく、会場を後にした。