Posted on 2017年9月22日

    「嫌韓」「反日」の記事を書けば800円。政治系ブログ作成の求人が掲載中止に

    「保守系思想を持っている方限定」などと書かれていた。

    クラウドソーシングサービス大手「クラウドワークス」に掲載されていた、「政治系の記事作成。保守系の思想を持っている方限定」とする求人内容が9月21日、運営側に「利用規約やガイドラインに違反する」として掲載中止にされた。

    この募集は、記事内容の例として「共産党の議員に票を入れる人って反日ではないか」「民進党の政策を反対のことを行えば日本は良くなる」(原文ママ)などといった内容を挙げているものだった。いったい、何があったのか。

    Googleのキャッシュより

    インターネットを介し、個人対個人や企業対個人の仕事の受発注ができるクラウドソーシング。クラウドワークス(東京)は日本最大級のサービスの一つだ。

    問題となったのは、9月20日掲載の「政治系の記事作成」に関する募集だ。

    記事単価は1800〜4000文字のブログ記事一つあたり800円。「政治にある程度詳しい方」と求めており、「日本にとって何がベストなのか保守系の立場から書いてください」とも記されている。

    募集主は「保守系の思想を持っている方限定というのは、私が保守系だからです」と説明。

    さらに、「自民党は保守系と言われていますが、左派的な政策もかなり行っているので、自民党の意見に必ずしも賛成である必要はないです。批判をしてもいいです」と記し、記事の例として以下の内容を列挙している。


    • 憲法9条を改正し、軍隊を保有すること、当然だと思っています。国際法上も当然の権利として認められていることが憲法では否定されているので、これは絶対に改正すべきです。安倍総理の改正案では緩いです。
    • 韓国とはもう付き合うべきではない。安倍さんの合意は間違えていた。
    • 外国人に土地を買わせないようにしないようにしべきだ(原文ママ)
    • 石破さんは首相候補として相応しくない
    • 共産党の議員に票を入れる人って反日ではないか
    • 民進党の政策を反対のことを行えば日本は良くなる
    • 天皇制が絶対に男系であるべき

    募集主は「こんな感じで、あなたの考えを記事にしてください」と促しているほか、「内容としては民進党とか共産党を応援する記事は採用しません」とも釘を刺している。

    また、参考サイトとしてあがっている「せいじ.jp」には、「北朝鮮をはじめ外国人に生活保護を与える日本は自滅」「日本には本当のリベラルは存在しない。いるのは反日だけ」など、過激な見出しが並んでいる。

    なぜ停止に?

    せいじ.jp

    参考サイトにあげられていた「せいじ.jp」の記事。「〜と言われています」「かもしれません」などの表現が多い。

    この募集内容は9月21日にTwitterで大きな話題を呼び、拡散。

    クラウドワークス側は同日中に「利用規約および仕事依頼ガイドラインに反する案件と判断し、掲載を中断いたしました」と発表し、募集の掲載が中止された。すでに内容を閲覧することはできない。

    「皆様からいただいたご意見をもとに解釈を広げ、差別や特定政党に関連する案件の対応を強化致します」と、複数の問い合わせがあったことを明らかにしている。

    また、「現在類似の違反案件について確認を行っており、今後も該当した場合は、即座に掲載を中断いたします」と明記している。

    過去の募集も…

    Googleのキャッシュより

    クラウドワークス上では、合わせて「保守(反民進・嫌韓)系まとめブログサイトの運営管理」という過去の募集が見られなくなる措置が取られている。

    WordPress(ブログサービス)の編集者を募集していたこちらの募集は、2017年5月に公開され、6月に募集が終了しているが、応募者はいなかったとみられる。

    この案件は、「政治・世界情勢のニュースを選んで、Wordpressに貼り付けニュースに反応するTwitterのつぶやきを埋め込んで記事投稿するお仕事です」という。

    クライアントは先述の募集とは違う人物。「仕事の流れ」は以下のとおりだ。


    1. 保守寄りな人に受けそうなニュース・話題を探してくる(嫌韓・嫌中・反民進・反日などのニュース・記事)
    2. キャッチーなタイトルを考える
    3. ニュース記事を引用スタイルでWordpressに貼り付ける。
    4. そのニュースに反応のあるツイッターのつぶやきを埋め込む
    5. 以上を1記事として1日5記事くらい投稿する

    報酬は1記事あたり50円。1日の上限は10記事で、「1日5記事×30日 150記事×50円 7500円」として、1ヶ月で7500円の収入になるとアピールしている。

    参考サイトには「アノニマスポスト」などが掲げられている。記事によってはFacebookのシェアやTwitterのリツイートなどで計1万〜2万シェアを獲得(計測ツールbuzzsumoで調査)している、影響力の大きいサイトだ。

    ここに並ぶ見出しもやはり、以下のように過激なものばかりだ。


    • 【テレ朝】テレビタックルに一般主婦を装ったお馴染みの極左活動家が登場w~ネットの反応「また、お前か!」「ネットではこんな事散々バレてるのにいつまでやってんだかw」(2万1100シェア)
    • 秋葉原での安倍首相演説で「安倍やめろコール」をしていた集団が、実はもの凄く少なかった件~ネットの反応「マスコミはこうやって印象操作するんだね」(1万5600シェア)
    • 再春館製薬所がTBS「ひるおび」のスポンサーを降りる~ネットの反応「まじか!ドモホルンリンクル買わなきゃ!」「次はキューピーだな。攻めてみる」「最終的に残った企業が反日企業認定で桶」(1万2900シェア)

    「アノニマスポスト」とクライアントの関わりは明らかではないが、こういった記事を掲載するサイトを例示している以上、同様の内容の量産を求めていることがわかる。

    BuzzFeed Newsでは、より詳しい経緯について、クラウドワークスに取材を申し込んでいます。回答があり次第、追記します。

    ネット上に溢れる「保守まとめ」

    Kota Hatachi / BuzzFeed

    BuzzFeed Newsが取材をした嫌韓デマサイト「大韓民国民間報道」の管理画面

    ネット上は真贋が不明だったり、一部の人種や国籍の人たちを差別したりする「ニュースサイト」や「まとめサイト」で溢れている。

    BuzzFeed Newsは2017年1月、広告収入目的で嫌韓デマニュースサイト「大韓民国民間報道」を運営していた男性(25)への接触に成功。

    男性は取材に対し、「日本人女児が韓国人に強姦された」などとしたすべての記事が「フェイク」の創作であることを認め、こう語った。

    関連:韓国デマサイトは広告収入が目的 運営者が語った手法

    「それがフェイクであれ、韓国についてはどんな話題でも信じたいという思いの人、拡散してやろうという人がネット全体にいた。さらに、それを望んでいる人たちも。コンテンツを作りやすいですよね」

    「基本的に韓国のことを話題にする人たちが、拡散したいな、と思っている情報は2つあります。一つは、ヘイトを煽る記事。もう一つは、韓国のことを馬鹿にしたり、『やばいのでは』と言ったりできる記事です」

    嫌韓や嫌中、誰かを反日とレッテル貼りしたり、自分とは違う考えや価値観の持ち主を敵認定する過激な記事や書き込み。

    それらを「望んでいる人たち」がいる以上、虚実を織り交ぜた記事は拡散していく。


    BuzzFeed Newsでは、デマや不正確な情報、いわゆる「フェイクニュース」を継続的に取材しています。そう思われる情報や、そうした情報を拡散している公人を見つけた場合は、BuzzFeed Japanのニュースチーム(japan-report@buzzfeed.com)や担当記者までご一報をお願いいたします。


    Contact Kota Hatachi at kota.hatachi@buzzfeed.com.

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