ある企業を突然襲った大量のクレーム 担当者が語った「恐怖」とは

    無関係の「HERO'S」には、大量の電話とメールが寄せられた

    俳優の三浦翔平がイメージキャラクターを務めるティラミス専門店「HERO'S」のコンセプトが、シンガポールのカフェ「ティラミスヒーロー」に酷似していた問題。

    求人サイトを運営する、まったく無関係の同名の企業「HERO'S」にクレームが殺到した。1時間に5件以上の電話がかかって来ることもあり、誹謗中傷も多く寄せられたという。

    同社の広報担当者は「インターネットの怖さを知った」と振り返る。いったい、何が起きたのか。

    そもそも、ティラミス専門店の「HERO'S」は1月20日、東京・表参道に1号店をオープン。「完全にパクリ」「やり方が汚い」などネット上での批判を受け、22日付で公式サイトに謝罪文をアップし、ティラミスヒーロー側に「ロゴの使用権をお渡しする」と表明した。

    これを機に報道が始まると、「TOKYOらくゆるバイト」という求人サービスを運営する「HERO'S」にも批判の電話やメールが集まるようになったという。

    広報担当者は、BuzzFeed Newsにこう語る。

    「私たちはスタートアップ企業で、社員も4人しかいない。固定電話は置いておらず、私の携帯に電話が転送されて来るため、仕事になりませんでした」

    「きちんと落ち着いて説明を聞いてくださる方もいたのですが、一方的に『パクリ会社は消えろ』『死ね』などと言ってくる方も多かった」

    一番のピークには、1時間に5件以上の抗議電話が朝から晩まで続いたという。担当者は、「怖かった」と振り返る。

    メールも10件以上が送られてきた。長文の抗議を書き連ねるものもあったが、「最低の屑会社なの?」などとだけ書き記すものもあった。

    さらなる誹謗中傷が

    いったい、なぜそこまでの抗議が集まったのか。

    担当者は、検索した際に1ページ目に出ていたことや、登記のタイミングや住所が件の「HERO'S」と近かったことが原因とみる。

    自社サービスのTwitterではたびたび、別の会社であることをアピール。「もう勘弁してください」と書いた投稿は、7千以上リツイートされ、ネットメディアなどに取り上げられるなどして、抗議はだんだんと収束に向かった。

    ただ、一方でそうしたツイートの内容に対し、「日本語がおかしい」「すぐ潰れそう」などという心無い声が寄せられるようになった。

    被害を受けた企業でも、攻撃対象になってしまう。そんなインターネットの現実も、身を以て痛感したという。担当者は、こうも語った。

    「犯人と同姓同名で、という被害があることは知っていました。いつもは他人事ですが、こんなにも突然自分に降りかかって来るとは思っていませんでした」

    「とにかく、みんながわかるように『違います』という声明をできるだけはやく出すということは大切なのだと、実感しました」