新型コロナウイルス 感染拡大に伴い、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の緊急事態宣言を3月21日まで再延長することに決めた菅義偉首相は3月5日、会見を開いた。
「解除できなかったことについては率直にお詫びをしたい」とし、今後について「ワクチンが感染拡大の切り札」と強調した菅首相。
記者からは、追加支援策や東京五輪、GoToトラベルキャンペーンなどについての質問もあがった。
追加の経済支援策は？
経済支援策をめぐっては、「飲食や宿泊、地域の公共交通機関などの厳しい状況が続く業界には、生活資金や雇用調整助成金などのできる限りの支援を継続し、様々な支援策を用意、丁寧に対応していく」と発言。
また、「女性の自殺者が増えていることに心を痛めており、対策が急務。就労に困難を抱えている方にITスキルなどの訓練機会を増やし、できる限り希望に沿った就労がかなうよう支援を行う」とも述べた。
記者からは、追加対策として、住民税の非課税世帯や収入が大幅に減った困窮世帯への個人向け給付金の再支給や、消費減税を検討していないかとの質問があがった。
菅首相は給付金については具体的に明言せず、「まず新型コロナで影響を受けられている方の暮らしを支える施策をしっかりと打っていきたい」と緊急小口融資に関する措置や住居確保給付金の再支給に触れながら、こうも述べた。
「雇用への影響が大きい女性の非正規の方々、またコロナ禍で孤独孤立の不安を抱えている方々に対し、早急に対策を検討し、今月中にもまとめる予定であります。特に非正規、ひとり親家庭の方に対し、IT、就業に通じる支援策をしっかり行っていきたいなと思っています」
なお、消費減税については「社会保障の財源として幼児教育無償化や大学授業料の減免などの財源になっているので、引き下げは考えておりません」と明言した。
東京五輪は？
東京オリンピックについても質問があった。開催に向け「コロナをどう押さえ込むか」と聞かれた際には、「オリンピックと関係なく、1日も早く収束させるのが私の役割」と回答。
「今回の延長でなんとしても感染拡大を抑え込んでいきたい。宣言解除後も、感染の再拡大を防ぐために、専門家のご意見を伺いながら対策をしっかり行っていきたい」
「今後、対策の決め手となるのはワクチンで、6月末までに高齢者全員に2回接種するワクチンの配送を行いたい。1日もはやく国民のみなさまにお届けするために全力を尽くしたい」
外国人観客の入国に関する対応策については、「入れる入れないという判断はこれからですから、私が申し上げることは控えたい」と回答しながら、こうも述べた。
「海外の観客については、バッハ会長との5者会談においては3月中に判断すると合意を得ている。丸川（珠代）大臣が現時点で夏の入国可否を見通すことは困難、慎重な判断が必要と発言したと承知している。引き続き変異株の影響や国内外の感染状況を踏まえ、主催者であるIOC、IPC、東京都、組織委のなかで検討してもらいたい」
「3月中に決定することになっているため、そうした状況を見ながら水際対策を考えたい。いまは万全な対策を取っているが、いざ観客を入れるということになれば人員も含め大変なことになってくる」
GoToキャンペーンは？
観光需要を喚起するため、宿泊や交通費などについて2万円を上限に代金の半額分を国が補助する「GoToトラベル」は、全国で昨年12月28日から中止されている。
赤羽一嘉国交相が「すぐ再開ということにはならない」と答えていたことについて、再開の時期の見通しについて聞かれた菅首相は、以下のように答えた。
「GoToトラベルについても当面の再開は難しい。今後各地域の感染状況を踏まえ、専門家のご意見を伺いながら判断して参りたい」
「いずれにしても各地域の感染状況は様々ですから、地方からいろいろな要請もきていますけれど、最終的には専門家の意見を伺いながら考えていきたい」