鳩山元首相が「統一教会」めぐり謝罪… 相次ぐ政治家の釈明、自民党議員からも

    政治家とのつながりがある勝共連合、UPF、FWPはいずれも、家庭連合とは組織上は別だが、創設者を含め多くの人材が重なっている。こうした背景が銃撃事件を機に注目されるようになり、政治の側から、それまでの関係を弁明したり、見直したりする動きが広がっている。

    奈良市の近鉄大和西大寺駅前で参院選の応援演説をしていた安倍晋三元首相が、銃撃されて死亡した事件。

    逮捕された山上徹也容疑者(41)が犯行動機としてあげた宗教団体の「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)やその関連団体との関係性を、政治の側から問い直す動きが出ている。

    与野党双方の議員から、これまでの関係を巡る弁明や謝罪、さらに今後のあり方の見直しを訴える声が出ている。

    1954年に教祖の文鮮明氏が韓国で設立した宗教団体・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)。高額な商品を買わせる「霊感商法」などが、以前から問題視されてきた。

    文氏が1968年に創設した政治団体「国際勝共連合」は「反共産主義」を掲げ、日韓の保守系政治家と連携。安倍氏の祖父の岸信介元首相とも関係を築いてきた。

    文氏夫妻が2005年に創設したNGO「天宙平和連合」(UPF)も、政治とのつながりをもっている。安倍氏は昨年、トランプ前米大統領らとともに、この団体のイベントにメッセージ動画を送っている。

    世界平和連合(FWP)という勝共連合の「兄弟団体」もある。今回の参院選では、安倍氏の元首相秘書官の井上義行氏(自民党、比例区から当選)がFWPの支援を受けた。井上氏はまた、家庭連合の「賛同会員」となっていることを認めている。

    勝共連合、UPF、FWPはいずれも、家庭連合とは組織上は別だが、創設者を含め多くの人材が重なっている。こうした背景が銃撃事件を機に注目されるようになり、政治の側から、それまでの関係を弁明したり、見直したりする動きが広がっている。

    国民・玉木氏「悪質な取引あれば取り締まりを」

    国民民主党の玉木雄一郎代表は、旧統一教会系列のメディア「世界日報」のインタビューを受けていたことや、同社の元社長から計3万円の寄付を受けていたことが明らかになった。

    玉木氏はインタビューについて「様々なメディアからの取材依頼は都合がつく限り受けて情報発信に努めてきた」と釈明。寄付については、適正に処理されているものであるとし、返還しないとの見解を示した。

    会見(7月19日)では、自身も所属議員も関連するイベントに参加したことはないとし、今後は「世界日報」の取材にも基本は応じないと強調。「信仰の自由は最大限尊重されるべきだが、旧統一教会で寄付の強要や『霊感商法』が続いているなら、国としても調査し、悪質な取り引きについては厳しく取り締まる必要がある」ともツイートしている。

    世界日報の私のインタビューが一部で憶測を呼んでいるようですが、私自身も国民民主党も旧統一教会との関係は一切ありません。小さな政党ですので、様々なメディアからの取材依頼は都合がつく限り受けて情報発信に努めてきたものです。

    Twitter: @tamakiyuichiro

    鳩山元首相「イベント出席や祝電あった」

    鳩山由紀夫・元首相はTwitterで7月20日、「統一教会のイベントへの出席や祝電の事実はある」と認め、謝罪。「儀礼的なもので、正直に言って自分には記憶すらなかった」と釈明した。

    また、「従来の政治と宗教の関係を公に反省した上で、反社会的部分を排除するための規制を作るべきだ」と持論も述べた。

    なお、鳩山氏が「統一教会の合同結婚式で結婚した」という根拠不明の情報がネット上で拡散したが、本人は「完全に嘘」と否定している。

    私が統一教会の合同結婚式で結婚したという噂は完全に嘘である。一方で、統一教会のイベントへの出席や祝電の事実はある。政治家として、一部の国民を苦しめるような宗教団体は規制すべきだったがその責任を果たさず、無思慮にかかわったことを大変反省している。心よりお詫びいたします。(続)

    Twitter: @hatoyamayukio

    自民・船田氏「団体と教会が一体と知り遮断した」

    自民党議員からも旧統一教会の関わりについて発言が出ている。

    衆院議員の船田元氏はFacebookで7月18日、過去にUPFの集会に祝電を送っていたことを認めた。後援者から依頼があり、「主催団体をよく調べずに打電してしまったようです」としている。

    私は旧統一教会やその後継団体、関連団体には加盟したこともなく、イベントにも参加しておりません。むしろ自民党消費者問題調査会長として、いわゆる霊感商法などの悪質な取り引きを取り締まる立場にあることを付言いたします。

    こうも述べていたが、その翌日、勝共連合の活動に賛同する「勝共推進議員連盟」に所属していたことを改めて認め、こう釈明した。

    勝共連合と統一教会とのつながりはある程度認識していましたが、純粋な政治活動団体として、その活動方針を理解できると考えたからであります。

    しかしながらその後、当団体は統一教会と一心同体であることを改めて理解することとなり、また統一教会が霊感商法や多額寄付の強要など、社会から厳しく糾弾される行為を続けていることに抗議して、一切の関わりを遮断いたしました。

    また、自民党の青山繁晴参院議員はブログで、同党内で教会関係の「票の割り振り」があったと主張。

    ある「派閥の長」から選挙支援を受けるよう指示があったり、支援を受けていながら公表していない「中堅議員」もいたりするとして、批判的な姿勢を示した。

    維新・足立氏「講演は不注意だった」

    日本維新の会の足立康史衆院議員は、教会の関連団体のイベントで講演を行なっていたことが明らかになり、7月12日、「関連団体とは存じ上げませんでした。不注意でした。二度と接点を持つことはありません」とツイートした。

    教会との関わりはそのほかにはないとしながら、問題については国会で取り上げるべきとも指摘。ただし、一部で議論が巻き起こっている「カルト規制法」については慎重な姿勢を示した。

    講演したことがありましたが、関連団体とは存じ上げませんでした。不注意でした。二度と接点を持つことはありません。 https://t.co/iKyOgAdWVG

    Twitter: @adachiyasushi

    維新・松井代表「各議員の関係を調査する」

    維新の吉村洋文副代表は7月18日、「旧統一協会によって泣いている国民が多くいて、もしそれが政治の力によって歪められているなら、正さなければならない」とツイート

    松井一郎代表も会見(7月21日)で、同党議員に教会などとの関係について聞き取り調査する意向を示し、「そういうところから支援をしてもらわないようにはしたい」「議員の名前で広告塔のように使われるのは控えるべき」と述べた。

    旧統一協会によって泣いている国民が多くいて、もしそれが政治の力によって歪められているなら、正さなければならない。

    Twitter: @hiroyoshimura

    立憲や共産も対策本部など設置

    立憲民主党は7月21日、「旧統一教会被害対策本部」を設置することを明らかにした。霊感商法を「看過できない問題」(西村智奈美幹事長)とし、対策を検討するとしている。

    共産党も同日、「旧統一協会問題追及チーム」を立ち上げた。「自民党と統一教会の癒着、統一教会による政界工作の全容を解明する必要がある」(小池晃書記局長)として、教会と政界・行政との関係性についても追及する構えを示した。

    7/21(木)14:00~「旧統一教会被害対策本部」の設置について、西村智奈美幹事長が国会内でぶら下がりを行いました。 1⃣ 西村幹事長 立憲民主党として「旧統一教会被害対策本部」を立ち上げることといたしました。 旧統一教会は、霊感商法などの問題を引き起こして、その被害問題に取り組んでいる

    Twitter: @cdp_kokkai

    自公幹部はコメントせず

    一方で、自民・公明の与党幹部の口は重い。

    自民党の茂木敏充幹事長は記者会見(7月19日)で、自民党と教会に関する問題について問われ、「根拠をお示しいただいたらコメントしたいと思います」と回答。記者は質問を取り下げた。

    また、宗教団体「創価学会」を支持母体とする公明党の山口那津男代表も同日「政治と宗教」の関わりについて問われたが、コメントしなかった。

    なお、教会をめぐる被害の救済活動などを行ってきた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)は、政治家が教会や関連団体と関わりを持つことが「お墨付き」を与えることにつながるなどと指摘。

    イベントへの参加や賛同、選挙で信者らの支援を受けないよう、全国会議員や安倍元首相に対し要望や抗議をしており、今回の事件後も会見などで関係性を見直すように訴えている。