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フィンランド「ムーミン」権利者、DHCとのコラボ解消を指示。差別発言を問題視、日本の代理店はお詫び

ムーミンの日本語版公式サイトには8月23日、DHCとコラボしたリップ&ハンドクリームのムーミンデザインに関するお知らせ記事が掲載された。その後、DHCの差別文書問題に関連した批判が殺到。24日朝までに記事、投稿ともに削除されている。

人気キャラクター「ムーミン」の日本国内の代理店が化粧品販売大手DHCとのコラボアイテムを発売したことをめぐり、フィンランドの権利者側から関係を解消する指示があったことが、8月24日、BuzzFeed Newsの取材でわかった。

DHCをめぐっては、吉田嘉明会長がサイト上に在日コリアンに対する差別的なメッセージを繰り返し載せていた。

権利者側はこうした発言が「ムーミンの生みの親であるトーベ・ヤンソンが掲げていた人間的価値観とは全く相容れないものであり、受け入れられない」としている。日本の代理店もお詫びコメントを発表した。

(*この記事には差別的な文言が含まれます。閲覧にご注意ください)

ムーミンの日本語版公式サイトには8月23日、DHCとコラボしたリップ&ハンドクリームのムーミンデザインに関するお知らせ記事が掲載された。

Twitterの公式アカウントも8月23日午後6時すぎにこの件をツイートをしているが、その後、DHCの差別文書問題に関連した批判が殺到。24日朝までに記事、投稿ともに削除されている。

著作権者でフィンランドのヘルシンキに本社を置く「ムーミン・キャラクターズ」のプレス担当者は、BuzzFeed Newsのメール取材に対し、以下のように回答。本日中にも「協力関係の解消」が発表されると明らかにした。

「ムーミン・キャラクターズには、この問題を深く憂慮する多くのファンから連絡が寄せられており、私たちもその懸念を共有しています。ムーミン・キャラクターズは、いかなる形であれ、差別を許しません」

「ムーミン・キャラクターズは、DHCとのコラボレーションを知った時点で、日本の代理店にDHCとの一切の協力関係を解消するよう指示しました。その理由は、同社の会長の発言が、ムーミンの生みの親であるトーベ・ヤンソンが掲げていた人間的価値観とは全く相容れないものであり、受け入れられないからです」

日本の代理店は「お詫び」

日本国内で代理店業務をおこなう「ライツ・アンド・ブランズ」は広報担当者の不在を理由にBuzzFeed Newsの取材には現段階では応じていないが、24日夜に公式サイトに見解を発表。

「皆様へ不快な思いをさせてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます」「様々なお声をいただきましたこと、真摯に受け止めております」などとしつつ、ムーミン・キャラクターズの見解にもこう触れた。

当社も同一認識を持っております。これは、お互いを認め合い、共存することを尊重していた原作者トーベ・ヤンソンの思想が包摂されています。

そのうえで今後について、「ライセンス許諾時点において、反社会勢力に対する確認に加えて、人権関連についても厳しく審査をし、仮に認識がなく契約された場合においても、それらが判明した時点において、速やかに契約更新停止や生産終了等の働きかけをしていきます」との方針を示した。

ただし、「当社がライセンス管理をする一部製品に関しまして」としており、DHCの社名や会長発言などに関する言及はなかった。コラボ商品の今後についても、明らかにしていない。

DHC問題の経緯は?

DHCをめぐっては、ライバル企業であるサントリーについて、「チョントリーと揶揄されている」などと記していたほか、「日本の中枢を担っている人たちの大半が今やコリアン系で占められている」などと、在日コリアンに対して差別的な表現が多数あり、批判が殺到していた。

文書を問題視した複数の自治体が包括連携協定を解除したほか、日本テレビもCM枠の販売を取りやめた。また、取引先のイオンは「非を認め、当該発言を撤回すること」を求め、JR西日本も「事態を憂慮」すると表明していた。

サントリーに関する文書は5月21日までに削除され、ほかの2つの文書についても5月31日までに削除された。

毎日新聞の情報公開請求で自治体に水面下で謝罪をしていたことが明らかになっているが、公には削除についての説明や謝罪はなされていない。また、BuzzFeed Newsの取材にもコメントしていない。

UPDATE

日本国内で代理店業務をおこなう「ライツ・アンド・ブランズ」のコメントを追記しました。