Dappi発信元の社長は“友人” 山本元農水相のサイト関与「ポケットマネーで謝礼」専門家「規正法違反では」

    「Dappi」の投稿の発信元の回線契約者であると判明した、東京都内のWEB制作会社。自民党との様々なつながりが明らかになるなかで、新たに山本有二議員と社長との関わりが浮かび上がった。

    Twitter上で野党批判を繰り返し、不正確な情報や誹謗中傷が問題視されていたアカウント「Dappi」の投稿の発信元の回線契約者が、東京都内のWEB制作会社だった問題。

    農水相や金融担当相を歴任した山本有二衆院議員(比例四国)が、同社社長と友人関係にあり、自らのサイト制作を「友人として手伝って」もらっていたことが明らかになった。

    同議員の政治資金収支報告書にはサイト関連の支出の記載がなく、事務所は「寸志としての謝礼を代議士本人のポケットマネーから一度支払った」と説明した。法律家は政治資金規正法に触れる可能性があると指摘している。

    まず、経緯を振り返る

    Kota Hatachi / BuzzFeed

    フォロワー数17万人以上と、拡散力の大きいTwitterアカウント「Dappi」。プロフィールには「日本が大好きです。偏向報道をするマスコミは嫌いです。国会中継を見てます」とある。

    主に野党やマスコミ批判の文脈から、国会答弁を編集した動画や、DHCテレビ「虎ノ門ニュース」の動画、インフォグラフなどを公開。その発信内容には不正確な点や誹謗中傷と批判されるものもあり、問題視されてきた。

    このアカウントによるツイートの発信元の回線契約者であると判明したのが、先述のWEB制作会社だ。立憲民主党の小西洋之・参議院議員と杉尾秀哉・参議院議員は「Dappi」の発信者情報開示請求を経て、名誉毀損で損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こしている。

    朝日新聞によると、両議員は投稿が平日に集中していることなどから、「投稿したのは同社役員か従業員、業務を委託された者であると推認される」と訴えている。一方、開示を求める過程でプロバイダー側が出した書面では、「投稿者代理人」の弁護士の名前で「情報は契約者ではなく、投稿者が発信した」と主張しているという。

    法人登記によれば、同社はサイトの制作やコンサルティング業務、インターネット広告の運営管理業務などを担っている。

    民間の信用調査機関によると、得意先の一つは「自由民主党」。政治資金収支報告書からも、同社が自民党都連や小渕優子・衆院議員(群馬5区)の資金管理団体、すでに解散した党支部との間で、サイトや資料制作などの取引をしていたことが裏付けられた。

    また、この会社の社長が、「自民党の金庫番」「影の幹事長」の異名を持つ党本部事務方トップ・元宿仁事務総長の親族であることが、BuzzFeed Newsのこれまでの取材で明らかになっている。自民党本部や元宿事務総長、小渕議員らは「Dappi」への関与を否定している。

    新たに見えてきた“つながり”

    Kota Hatachi / BuzzFeed

    昨年、当時の二階俊博幹事長や林幹雄幹事長代理とともに故郷を訪れた元宿氏(中央)。村内で配られたカレンダーにも、その時の写真が掲載されていた。

    このWEB製作会社は、東京都千代田区に本社を置く集金代行会社とも取引があった。

    最新の法人登記によると、この集金代行業者のいまの代表取締役が、山本有二衆院議員(比例四国)だ。農水相や金融担当相のほか、衆議院予算委員長や党財務委員長を歴任。代表取締役には、2017年から就任している。

    過去の代表取締役には、岸田文雄首相のほか、甘利明前幹事長、福田康夫元首相らが名を連ねる。金銭面でのつながりも深く、政治資金収支報告書によれば、自民党本部は2017〜20年の4年間に、集金代行会社に対して「負担金」として、計1億6620万円あまりを支払っている。

    同社によると、「自民党の党友で組織する自由国民会議の事務や会費引落としの代行業務を受託している」ため、党関係者が充職で「無報酬・非常勤」で役員に就任しているという。

    WEB制作会社との関係性について、同社は「口座振替のシステム開発やメンテナンスの一部をご質問の会社に委託している」としており、「Dappi」との関係性は以下のように否定している。

    《ご質問のツイッターアカウントにかかることは全く存じ上げませんし、弊社がご質問の会社にツイッターの発信を委託している事実も全くありません》

    こうした中で新たに浮上したのが、山本議員と、WEB制作会社とのあいだの直接的なつながりだ。

    山本議員の公式Facebookには、2018年7月26日付で「ホームページを新しく作成し、引っ越し致しました」という投稿がある。そして同日、WEB制作会社に関係するとみられるTwitterアカウントにも、山本議員の公式ホームページのURLが計4回、投稿されていた。

    このアカウントは、同社の社名とロゴを使用。また同社公式サイトのソースコード内でも、Twitterのユーザー名が確認できた。

    山本議員と社長の出会いは…

    Facebookより

    しかし、山本議員や関連する政党支部、後援会の2018年分の政治資金収支報告書には、WEB制作会社に関連するものはもとより、サイト作成やサイトの維持管理費(サーバー代など)に関する支出が記載されていない。

    なお、この会社と取引のある自民党東京都連や小渕優子・元経産相(衆院群馬5区)は前述の通り、いずれも、サイト制作などに関する支出を報告書に記載していた。

    一方、WEB制作会社に関係するとみられるTwitterアカウントは、今年11月8日以降に削除されている。

    この問題は共産党の機関紙「赤旗」が11月21日に報じ、「政治資金規正法違反の疑い」があると指摘した。また、赤旗編集部が山本議員側に取材した後、前述のTwitterアカウントが削除されたという。

    なぜ、サイトに関連する支出の記載がないのか。山本議員とWEB制作会社との間には、どんな関わりがあるのか。「Dappi」への関与はあるのか。

    BuzzFeed Newsの取材に対し、山本議員の事務所はFAXで回答した。以下、全文を掲載する。

    《ご質問の会社社長と代議士とは、党の財務委員長を務めていたころ、代議士がパソコンやインターネットの勉強をしたいので、代議士が代表取締役を務めている集金代行業者(*回答では正式名称)の社員に、詳しい人を紹介してほしいと話をしたところ、同社の社員がご質問の会社社長を連れてきたことが出会うきっかけでした。その後、パソコンやインターネットの勉強の交流の中で、ホームページについてもアドバイスをいただくようになりました。

    ホームページは、もともと事務所の関係者が個人的に作成していただいたものをスタッフが引継ぎ、その後、ご質問の会社社長からアドバイスをいただきながら、改善してまいりました。

    したがって、ホームページは、ご質問の会社に発注して作成したものではなく、途中で会社社長が友人として個人的に手伝っていただいたものであります。

    個人的なお手伝いとはいえ、寸志としての謝礼を代議士本人のポケットマネーから一度支払ったことがありますが、文書通信交通滞在費や政治団体からは支出していません。

    なお、ご質問のツイッターアカウントについては知る由もなく、ましてやアカウントの運用に関わった事実はありません。赤旗の記事については、事実無根であります》

    政治資金規制法違反の可能性も

    Googleのキャッシュより

    WEB制作会社に関連しているとみられるTwitterアカウントでは、山本議員のサイトのURLを投稿していた。

    自らが代表取締役を務める集金代行会社の取引先にあたるWEB制作会社の社長に、サイト制作の謝礼を「ポケットマネー」から支払った。サイトは個人のものであり、政治団体から支出はしていないーー。

    こうした主張に問題はないのか。政治資金に詳しい阪口徳雄弁護士(政治資金オンブズマン共同代表)は、政治資金規正法に違反する可能性を指摘する。

    「規正法の不記載に当たるでしょう。山本議員のサイトは、誰がみても政治活動のためのものです。本来、個人の活動とは政治活動と全く無関係な活動を言います。このサイトは客観的にみて、個人としてのものではありません。政治活動のための支出となれば当然、政治資金収支報告書に記載する必要があります」

    「サイトの作成が仮に無償であったとしても、規正法4条の『その他の財産上の利益』に当たりますので、社長からの寄付として、同法9条で定められている通り、『時価に見積もった金額』を記載する必要があります」

    「国会議員の宣伝のWEBサイトの作成費用を『本人がポケットマネーで支払う』ことなど、およそ信用できません。多くの政治家はサイト制作費を政治資金収支報告書に記載しています。何か2人の関係性を隠す必要があったのではないかと疑われても仕方がないのではないでしょうか」

    BuzzFeed Newsは、WEB制作会社に対しても11月26日付で山本議員との関係性などを尋ねる質問状を送ったが、12月2日正午までに回答はなかった。