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【更新】千羽鶴や遺品、遺骨までもが被害に。沖縄「集団自決」が起きたガマが荒らされる

逮捕された少年4人は「心霊スポットに行こうと思った」「肝試し」と供述しているという。

国内で最大の地上戦があった沖縄で、住民らによる「集団自決」があり、避難していた140人中83人が犠牲になった沖縄県中部の自然洞窟「ガマ」が、何者かに荒らされた。9月12日、ガマの管理をしている人たちが確認した。

被害があったのは、読谷村波平の「チビチリガマ」。

村によると、入り口付近では、立て看板が抜き取られ投げ捨てられているほか、かけられていた折り鶴が落とされ、周囲に散乱しているという。

「チビチリガマ」には遺骨が残っていることから、遺族の意向で立ち入りが禁止されている。しかし内部にも何者かが侵入した形跡があり、当時のガラス瓶や遺品、陶器などが割られているほか、遺骨の集められた場所も荒らされているという。

9月12日午前11時ごろ、このガマを管理する平和運動家・知花昌一さんがイスラエルのジャーナリストを案内している際、発見。その後、通報を受けた役場職員と嘉手納警察署、知花さんと遺族会会長が午後1時に被害を確認した。

村企画政策課の担当者は、BuzzFeed Newsの取材に「遺族会も日頃から手入れをしており、大事にされている場所。このようなことが起きて、非常に残念」と話した。

沖縄の基地問題などを伝えてきた映画監督・三上智恵さんがYouTubeにアップロードした動画では、荒らされたガマを調査する知花さんらが撮影されている。

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正午ごろに三上さんが内部に入った際には、被害者の歯などが散らばっている様子も確認できたという。

三上さんは、BuzzFeed Newsの取材に対し、「鶴や看板がものすごい力で投げ捨てられていたことに、唖然としています。遺骨までこんなことにされていて、かなりの悪意があるように感じた」と話した。

読谷村史によると、米軍が上陸した海岸からは800mほど内陸にある「チビチリガマ」で集団自決が起きたのは、1945年4月2日のこと。

米兵が投降を呼び掛ける中、米軍に殺されると考えた男が山積みの布団につけた火によって煙が充満し、多くが命を落としたという。全犠牲者の6割が18歳以下の子どもだった。

村史は当時の状況をこう記している

そして毛布などについに火がつけられた。前日は止めたが、もうそれを止めることはできなかった。奥にいた人たちは死を覚悟して、「自決」していった。煙に包まれる中、「天皇陛下バンザイ」を叫んでのことだった。そこに見られたのは地獄絵図さながらの惨状だった。

「チビチリガマ」では1987年11月、同年に建立した「世代を結ぶ平和の像」が右翼団員に破壊される事件が起きている。

日米で合わせて計20万人以上の命が奪われた、沖縄戦。日本側の死者の半数は民間人で、当時の沖縄県民の4人に1人とも言われている。民間人の中には、強いられた「集団自決」によって命を失った人も少なくない。

UPDATE

嘉手納署は9月15日、看板や千羽鶴を壊した器物損壊の疑いで、県内の16〜19歳の少年4人を逮捕した。容疑を認め、「心霊スポットに行こうと思った」「肝試し」などと供述しているという。

少年たちは10日午前、棒などを使ってガマで損壊行為をしたといい、他の数人が「やるな」と制止することもあったという。

沖縄タイムスによると、同署は犯行の政治的な動機については「現在のところ全くない」としている。


BuzzFeed Newsでは【ガマを掘り続ける男 沖縄戦遺骨収集、いまだ帰られぬ人たちのために】という記事も掲載しています。

訂正

「日本で唯一地上戦があった」という記述を、「国内最大の地上戦があった」に直し、お名前を訂正しました。