過労死や長時間労働、パワハラなどが問題視されている企業を集めた「ブラック企業大賞2018」の授賞式が12月23日、開催された。
式では、「有給ちゃんと取らせろ賞」に選ばれたジャパンビバレッジ東京の社員2人が、その実態を証言した。
「ブラック企業大賞」は、労働問題に関わるNPOや弁護士、ジャーナリストらがつくる実行委員会が主催し、今年で7回目。今年は三菱電機が大賞に選ばれた。
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ジャパンビバレッジ東京は、サントリー食品インターナショナルグループ傘下の自動販売機オペレーション大手・ジャパンビバレッジホールディングスの子会社。
実行委員会は、以下のような理由で同社をノミネートしていた。
同社は、2017 年末に足立労働基準監督署により、 違法な長時間残業があったとして是正勧告を受けた。この労働者の残業時間は月100時間を超えていたが、1日 10 時間を超える労働に対し、7時間45分の給与しか支払っていなかったという。
また、ある支店の支店長がメールでクイズを出し、正解者にのみ有給休暇の取得を認める「有給チャンス」とよばれるパワハラの存在も明らかとなった。会社側もメディアの取材に、メールが送られていたことを認めた。
社員がロボットのように…
ある男性社員は、1日12時間、15時間を超える労働が当たり前となっていたと証言。こう語った。
「業務量が非常に多く、休憩を取る時間もない。100時間の残業をしても、仕事が全く終わらないほどの業務を処理することを従業員に強いていた」
「現場の労働者がロボットのように扱われていた。このままだと体が持たない、と感じました」
有給休暇も、まったく申請できなかったという。
「結婚式の前日に有給申請をしたが、振替休日にさせられていました」
子どもが生まれた日も早帰りを求めたが、上司には「仕事を終わらせてから帰れ」と指示をされたこともあった。さらにその翌日にも有給申請をしたが、「子供が生まれたくらいで仕事を休むな」とも言われたとも語る。
男性の訴えを受け、会社側は社内調査を実施したが、「そういった事実は確認できなかった」としているという。
有給チャンスだけではなく…
一方、別の男性社員は、「有給チャンス」以外にもハラスメントが横行していたと語った。
「ちょっとしたミスをすると、みんなの前で腕立て伏せをさせられるようなハラスメントもありました」
東京駅の自販機作業などは特に忙しく、息をつく暇もなかったという。
「単純作業だが、作業もひとつひとつ細かく、業務過多になっていました」
こうした状況を受け、今年5月には同社の労働者十数名がJR東京駅で「自販機ストライキ」を実施。さらに、社内労働組合も結成された。男性はこう語った。
「辛い労働環境を若い後輩たちに同じ想いは味あわせたくないので、戦っています。劣悪な環境を知ってもらって会社が変わってよりよい環境になり、みんなが笑顔で働けるといいと思っています」
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