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震災後、食べ物も買えなくなった。そんな子どもたちがいること、知っていますか

再建が進んでいない人たちは、少なくない。

多くの人たちの家や生業を破壊した東日本大震災。7年経ったいまも、経済的に苦しい状態を強いられている人たちは少なくない。

そうした世帯では、食費などにとどまらず、子どもの学費も削らざるを得ない状態に置かれている。

その影響を大きく受けるのは、もちろん子どもたちだ。

このグラフが示しているのは、「被災児童生徒就学援助」の対象となっている児童生徒の数だ。

この事業は、一般的な就学援助とは別に東日本大震災による経済的な理由から「就学などが困難になった」世帯を対象に、2011年度から始まった。

就学援助は、経済的理由により就学が困難な児童生徒に、学用品費、通学費、学校給食費、医療費などにあてられるものだ。

最新の2015年度のデータによると、被災3県や全国の避難者らを合わせて約1万9千人だ。2011年度の約3万8千人から半減したとはいえ、5年を経ても学ぶことに苦労している子どもたちがいることがわかる。

震災によって経済状況が悪化

国際NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが支援をしている経済的に困難な状況にある被災地の子育て世帯(岩手県山田町、宮城県石巻市の400世帯)を対象に、2017年に実施にした調査がある。

それによると、震災前と過去1年の間の状況を比較すると、震災前は60.6%いた「赤字でも黒字でもなくギリギリ」だった人たちが減り、「貯金からの赤字」や「借金からの赤字」が合わせて60.4%まで膨らんでいることもわかる。

また、震災前と比べて経済状況が悪化した家庭は44.2%。さらに、震災前から経済状況がよくなかった世帯も17.4%いる。

食費や文房具の費用がまかなえない

こうした状況は、当然ながら子どもたちに影響を及ぼしてしまう。

必要な食料品や文房具や教材すら買うことができなかったり、病院に通院させることができなかったりするケースがあるからだ。

たとえばこの調査では、過去1年間で経済的な理由により家族が必要とする食料を買えなかったことがあった、と答えた世帯は61.1%にものぼった。

また、医療機関を受診した方が良いと思ったのに、実際にはしなかった、と答えた人たちは2割以上いた。

必要な文具や教材を買えなかった人は31.3%。遠足や修学旅行の参加費、部活動の経費、給食費を支払えなかった人は、いずれも2割を超えた。

こうした世帯の7割以上は冒頭のグラフにもある就学援助を受け取っているが、半数以上が学校にかかる経費を援助で「まかなえていない」とも回答している。

進学が「経済的に不可能」なケースも

最低限のことすらままならいのだから、塾や習い事、高等教育への進学そのものを諦めざるをえない状況にも陥っている。

今後の可能性も含めれば、塾を諦めさせたり、やめさせたりすると答えた人は81.1%。習い事に関しては、78%だった。

進学に関しては、短大や高等・専門学校までの教育は「経済的に不可能」と答えた人は47%。大学およびそれ以上については、60.9%だ。

夫が無職に…その厳しい現状

こうした困難にあえぐ世帯の85.1%が、ひとり親世帯だ。

被災地に限らず、ひとり親世帯の子どもの相対的貧困率は高いことからもわかる通り、もともと弱い立場にあった人たちが、震災を機にさらに悪い状況に陥ってしまったと言える。

調査には、苦しい現状を訴える保護者たちの声が寄せられている。

  • 「震災と病気を機に夫が無職になり、世帯収入が激減した。未だに職を得られず、将来が不安」
  • 「震災後に住まいも追い出され、仕事も失いました」
  • 「復興に失敗しました。震災債務に追われ、子どもを怒ってばかりいる自分が嫌です」

保護者の中には、経済的支援のみならず、子どもへの学習支援や、地域における子どもたちの居場所を求めている人たちも少なくない。

平時からの支援の重要性とは

調査を実施したセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、こうした状況を「震災が6年経過してもなお、子育て世帯の家計に負の影響を及ぼしている」と指摘。「子どもの成長のための多様な機会を制約している」とした。

そのうえで、「災害時に子育て世帯が経済的に困窮な状況に陥らないように支援する」ことの重要性に触れながら、平時から「経済的に困難な状況下にある子育て世帯の支援」をすることが重要であると訴え、提言を出している。

経済的な困難は、直接的な空腹や不便だけではなく、健康や心の成長、そして学力など、多方にわたって大きな影響を及ぼすことになる。

1日も早く、そうした子どもたちが「ふつう」を取り戻せるような支援が求められている。


BuzzFeed JapanはYahoo! JAPANの特設ページ「震災復興のいま | 3.11応援企画」で被災地の現状をデータで紹介しています。