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民進分裂で150億円の資金はどこへ 「希望」と「立憲民主」で山分けできる?

政党交付金などの資金は、どう配分されるのか。

民進党が分裂する。

民進党の枝野幸男代表代行は、新党「立憲民主党」の発足を発表した。

小池百合子都知事が代表を務める「希望の党」に合流しない、リベラル系議員の受け皿となる。小池氏の選別により、野党第1党の民進党は分裂に追い込まれた。

全員が希望の党に合流するというシナリオが崩れた今、焦点の一つとなっているのが、民進党が蓄えていた資金の行方だ。

150億円の資金の行方

衆議院議員選挙で小選挙区と比例代表に重複立候補するには、1人当たり600万の供託金が必要だ。しかし、できたばかりの希望の党には資金がない。

時事通信によると、民進党の手元の資金は計150億円近く、候補者に選挙資金として500万円を渡すことができるという。

その多くは政党助成金。総務省によると、民進党には、2016年度の1年間で約93億4900万円が、17年度はすでに半額の43億5950万円がすでに交付されている。

交付のルールを定める「政党助成法」では、政党を解散した場合、積み立てている政党交付金は国庫に返納しなければならない(33条)。

そのため、希望の党に事実上合流する今回の選挙でも、形だけは民進党を残し、この資金から希望の党の選挙資金を捻出する公算が高い、と見られていた。

国民1人あたり250円の政党交付金

そもそも、政党交付金とは何なのか。

総務省によると、「政党の政治活動の健全な発達の促進及びその公明と公正の確保」のために交付し、「民主政治の健全な発展に寄与する」目的があるという。

1995年に始まった制度で、民進党のみならず各党の資金源になっている。制度に反対している共産党は受け取っていない。

原資はもちろん税金だ。国民1人あたり250円が支出されており、2016年度は計約320億円(2010年の国勢調査人口に基づき算出)だった。

各政党に交付される政党交付金の額は、以下の二つの要件で決まる。


  • 政党に所属する国会議員の数
  • 前回の衆議院議員総選挙、前回と前々回の参議院議員通常選挙の際の得票数

それってOKなの?

小池氏は9月29日の会見で民進党の合流について「お金欲しさという批判は全くの間違いだ」と述べたが、資金が魅力的であることは違いない。

希望の党の資金不足は深刻だ。候補者に選挙資金を渡すどころか、逆に700万円の寄付金を持参するよう求めているという(日経新聞)。

選挙向けに小池氏との2ショット撮影を求める候補者に一人3万円を要求し、候補者が現金を握りしめて列をなしたとの報道もある(読売新聞)。

民進党に渡された政党交付金を、別の党の選挙資金に使ったり、寄付したりすることは可能なのか。

総務省選挙部の担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、「法的には問題ありません」と語る。

根拠は、政党助成法の4条だ。この条文では「国は、政党の政治活動の自由を尊重し、政党交付金の交付に当たっては、条件を付し、又はその使途について制限してはならない」としており、その使い道を一切制限していないのだという。

「4条の2項では、『政党は、国民の信頼にもとることのないように、政党交付金を適切に使用しなければならない』と定めています。年末に提出を義務付けている使途報告書は公表しますので、国民の皆様にその使い道が適切か、判断をいただくことになります」

「立憲民主党」はどうなる?

では、枝野氏が立ち上げた「立憲民主党」はどうなるのか。

「政党から一部の国会議員が脱退して新たに政党を設立した場合は、『分割』ではなく『分派』になります。その場合、今年分の助成金が新党に配分されることはありません」

助成法では、政党が一旦解散して協議などを経て「分割」した場合は、それぞれの議員数に応じた交付金の配分ができる、としている。

民進党が解散しない以上、枝野氏の新党結成はこの「分割」には当たらない。そのため交付金が配分されることもない、ということになる。

ただ、希望の党と同じ手法は可能だ。つまり、民進党から立憲民主党にも資金援助や寄付をする、ということだ。

実際、枝野氏は新党結成の会見で、民進党の人や組織、資金を求めるのかと問われ、こう答えている。

「私どもとしては、民進党としてともに活動してきた。ただ、残念ながら前提とは違うことがあり、やむなくこうしたプロセスを踏んでいる。一定の範囲でご協力いただけるものと思っています」

混乱を招いた責任はそちらにあるのだから、協力は当然だろうーー。そんな思いが感じられる言葉に、前原氏側はどう応えるのだろうか。


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