• factcheckjp badge

「11月23日に南海トラフ」に科学的根拠はない 地震のたびに繰り返される流言

ただ、地震はいつでも起こり得る。

11月22日朝に福島県沖であった地震をきっかけに、「23日に南海トラフ地震が起きるのでは」という憶測がネット上を駆け巡っている。

拡散された「魔の水曜日」

この根拠のない憶測は、東日本大震災を「予知した」という女性が唱えたものだとされ、「魔の水曜日」と呼ばれている。

その定義は諸説ある。多くは、「伊豆が紅葉しない」「祝日」「水曜日」が重なる日、11月23日に南海トラフ地震が起きるというものだ。

この噂が広がり、Twitterでは不安げにつぶやく人が増えた。Googleトレンドを見ると、地震後から検索数が急激に増えている。

もちろん、「魔の水曜日」に科学的な根拠はない。

NHKの公式アカウントも、この噂について触れ、「根拠が不確かな情報には注意して」と呼びかけている。

「23日に地震が起きるの?」といった質問が増えています。お伝えできるのは、現代の科学では時間・場所を具体的に特定する地震予知は確立されていないこと、一方で日本はどの地域でも地震への備えは必要なことです。根拠が不確かな情報には注意したうえで、身の回りの防災対策は点検しておきましょう

地震のたびに繰り返される流言

4月にあった熊本地震の後には、「5月17日に南海トラフ地震が来る」という情報がネット上で拡散。高知県では、営業を自粛するホテルも現れた

これにも、科学的な根拠は一切ない。2ちゃんねるへの書き込みが「ソース」だった。

日本地震学会は、公式サイトでこう呼びかけている。

現状では、「何月何日」と日を指定しての、科学的な根拠に基づく地震予測は不可能です。

ただ、地震はいつでも起こり得る。

政府の予測では、マグニチュード8〜9クラスの南海トラフ地震は30年以内に、70%程度の確率で起きるとされている。最悪の場合で、津波や地震による死者数が32万人、倒壊、焼失が238万棟と予測されている。

内閣府が製作したCG動画からは、その被害の甚大さが伝わってくる。

YouTubeでこの動画を見る

youtube.com

京都大学大学院理学研究科の平原和朗教授(地震学)はBuzzFeed Newsの取材に、こう答えている。

「自分の命は守るという危機感を常に持っておくことが大切です」

11月23日に必ず起こるという科学的根拠はない。噂に惑わされることなく、いつでも起こりうる地震に備えておくことが重要だ。

【関連記事はこちら】

宮城・福島の津波警報でデマ 東日本大震災の写真使い「津波やべええええええ」

熊本地震でツイッター発信を続けた市長 その目的は災害時の「デマ潰し」だった

「記者はあっち行って」被災者と取材者のはざまで感じたこと

巨大災害のデマ・うわさ拡散 93年前の教訓に、今こそ学ぶ