10万円給付、対象外の子どもは200万人。岸田首相は「謙虚に受け止め」全員給付を求める野党提案には…

    18歳以下の子育て世帯への10万円給付に関して、政府は当初、現金とクーポンを併用する方針を示していた。だが、クーポンの発行に事務経費が967億円以上かかることから批判が広がり、岸田首相は現金での一括給付を認める姿勢に転じた。

    18歳以下の子ども達に配られる「10万円」について、国会での論戦が続いている。

    参議院の予算委員会では、山際大志郎・経済財政担当相が、「10万円」の給付されない子どもが約200万人いることを明らかにした。昨年の所得を基準にするため、今年収入が減った人は対象からこぼれるという。

    岸田文雄首相は野党側からの指摘に対し、「謙虚に受け止めなければならないと思います」と釈明した。

    18歳以下の子育て世帯への10万円給付に関して、政府は当初、現金とクーポンを併用する方針を示していた。だが、クーポンの発行に事務経費が967億円以上かかることから批判が広がり、岸田首相は現金での一括給付を認める姿勢に転じた。

    「世帯の中で最も高い人の年収が960万円」という所得制限についても、世帯合算にすべきではないかと疑問の声が噴出。山際担当相は、自治体が独自に財源を手当てすることを前提に、所得制限を外すことを容認する考えを示している。

    12月16日の参議院予算委員会で、立憲民主党の白眞勲議員は所得制限の範囲について質問。児童手当のように前年度の所得をベースにした給付になると、「今年、収入がなくなる人たちは対象にならない」と指摘した。

    山際担当相も「児童手当のデータは去年のものでございますので、先生のおっしゃる通りです」と答弁。給付対象にならない人が、全体の1割にあたる約120万世帯、200万人にのぼることを明らかにした。

    「200万人に1人5万円ずつ配ると1000億。960億円のクーポンの手数料を考えたら、そっちの方がいいんじゃないですか?」

    白議員の問いかけに、山際担当相は以下のように答えた。

    「まず、この年を越せるように先行して5万円を支給するということ。そしてその後、年度末と年度始めに子育てに対してより直接的に使っていただこう、というアイデアでこの政策をつくりました」

    「事務経費が1000億近くかかるから、所得制限を撤廃してそこに充てるべきではないかというのは、もともと私達が考えていたことと少し違う。クーポン等々も利活用しようという自治体もありますから、そこにはやはり事務経費が必要になってくるという風に考えております」


    岸田首相の回答は…

    山際担当相の答弁を受け、白議員は「クーポンを全部やめて、全部現金にして、960億円はもらえなかったお子さんたちにもあげたらどうですか? という提案なんです」と重ねて質問。岸田首相は、こう答弁した。

    「ご指摘のように、制度の対象外の方がおられる点については、謙虚に受け止めなければならないと思います」

    そのうえで、住民税非課税世帯に対する給付や緊急小口資金の特例貸付、求職者支援制度、生活困窮者自立支援金の期間延長ーーなどの制度があることに言及。

    「様々な政策を組み合わせることによって、できるだけ隙間に落ちないように、できるだけ多くの方を広く支援できるように、この経済回復策全体の中で工夫をしている」と述べた。

    これに対し、白議員は「お子さんたちはみんな平等に、ちゃんとやっていった方がいいんじゃないんですか」と呼びかけた。

    その後に質問に立った立憲民主党の木戸口英司議員は、今回の10万円給付について、「政治における政策決定過程、政党間における政策検討過程、国と自治体とのコミュニケーション、国民のニーズの的確な把握。これらに問題があったのではないか」と指摘した。

    岸田首相は「自治体をはじめ関係者の皆さんに混乱を与えたということであるならば、謙虚に反省をしなければいけない」「ご指摘のような点についてしっかりと踏まえ、我々としてそれを検証し反省し、今後にしっかり生かしていきたいと思います」と答弁した。