サッカーのカタール・ワールドカップ(W杯)の決勝トーナメント1回戦で、クロアチア代表に惜敗した日本代表を激励するために、サポーターの多くが引用した元イタリア代表選手の言葉があった。
日本代表は12月6日、クロアチア代表と対戦し、1-1で延長戦に突入。
それでも勝敗は決まらず、PK戦の末に惜しくも敗れた。
PK戦では、浅野拓磨が成功したものの、南野拓実、三笘薫、吉田麻也の3人が失敗し、1-3で敗退した。
こうした結果に、Twitterでは厳しい声が飛び交った。
それに対し、「選手たちを称えよう」「どれだけのプレッシャーかをわかっていない」「まずは『ありがとう、お疲れさま』と言うべき」など、選手たちを擁護する声が多く上がる展開に。
結果として「PK下手」がトレンド入りした。
選手たちを擁護し、激励しようと、サポーターの多くが、引用した言葉があった。
「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」
元イタリア代表のロベルト・バッジョさんが、1994年のアメリカ大会のあとに口にした言葉だ。
バッジョさんは、大会の前年、世界年間最優秀選手に贈られる「バロンドール」を受賞。
アメリカ大会に背番号10で出場し、ブラジルとの決勝戦に臨んだ。
決着がつかず、PK戦にもつれ込むと、バッジョさんは最終キッカーを担った。
ところが、ボールはゴール左上を通過。この失敗によって、イタリアは敗れ、準優勝に終わったのだった。
バロンドールを受賞するほどの優れた選手だったバッジョさんでも、失敗することがある。
その後に語られた「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」という印象的な言葉は、サポーターの間で評価され、今でも語り継がれている。
PK戦は、実力だけでなく、運でも結果が左右する。ボールを蹴った4人の選手たちは、大きな期待と重圧を背負い、彼らにしか見えない“景色”が目の前に広がっていたに違いない。
森保ジャパンが目指した悲願のベスト8進出という「新しい景色」は、4年後に持ち越しとなった。