YouTubeで動画を配信するクリエイターのマネジメント業務をする「UUUM」が4月、初の地方オフィスを宮崎市内に開設する。
IT企業の誘致に力を入れてきた宮崎市が、開設に協力した。同市は3月29日、UUUMと立地協定を結び、ともに力を携えて地域活性化を目指すことなどを確認した。
UUUMは東京都に本社があり、人気YouTuberのHIKAKINさんや、はじめしゃちょーさんらが所属する。
オフィスのスタッフは、地元の人を中心に新たに雇うという。クリエイターたちが撮影した動画の編集業務を担う。
動画編集以外の業務をする人員を採用する将来構想もある。
この日、宮崎市役所であった締結式には、戸敷正市長や、UUUMの鎌田和樹社長、さらにクリエイター3人が着席した。
宮崎市は2015年からIT企業の誘致を積極的に始めた。YouTube関連企業の進出はUUUMが初だという。
戸敷市長は、YouTuberたちの若者からの注目度や、影響力の高さに関心を持っているといい、感謝を口にした。
「人口減少しているなかで、(クリエイターの)発信力に期待しています」
地方にオフィスを開設するのはなぜ?
パソコンとネット環境さえあれば、どこででも仕事ができる時代だ。とはいえUUUMは、なぜ、宮崎にオフィスを開くのか。
UUUMの鎌田社長は、地方オフィスをつくることで「地方で活動するクリエイターを盛り上げたかった」と語る。
「ただ、設立して6年目の会社なので、自分たちの足だけでは立てなかった。その中で、宮崎市のご協力があり、一緒にできると強く感じました」
食や気候など、宮崎県の良さを知っているという。それもあり、地域活性化に貢献したいとやる気を見せる。
「宮崎のために、雇用を生む。それだけでなく、私たちがきたことで、宮崎市が『変わりました』『活性化しました』と言ってもらえるような情報発信ができれば。市と一緒になり、どんな取り組みが良いのかの話から考えていきたいです」
クリエイターたちの思い
実際に地方で活動するクリエイターは、どう捉えるのか。
佐賀県を中心に活動して釣りや料理の動画を配信する「釣りよかでしょう。」のよーらいさんは、締結式に出席した一人。「宮崎市とコラボして、釣りをしたい」と意気込む。
「YouTuberを地方でやっていると、東京(本社)との行き来で大変なことがいっぱいあります。宮崎市にオフィスができれば、さらに九州で活動しやすくなると思います」
「それ以上にオフィス開設により刺激を受け、宮崎から YouTuberになりたいという人が出てきたらおもしろいですね」
また、ともに福岡出身の佐藤あやみさんと田中日菜さんは、東京でないと「YouTubeを始められない」とのイメージが強く、夢を諦めている人が多いのでは、と指摘する。
そのうえで、挑戦したい人を後押しするオフィスになってほしいといい、佐藤さんは「夢に近づける第一歩になれば」、田中さんは「やってみたいなと思う気持ちを持ってもらえれば」と語った。
戸敷市長は式後、BuzzFeed Newsの単独取材に応じ、UUUMとの提携が「起爆剤になれば」と語った。
今回と同じ協定により、すでに「GMOインターネット」(東京)などが、市内に地方オフィスを設けた。「10年間で3000人の雇用を」との目標を立てており、現在、1600人の雇用が生まれたとする。
「IT関係の企業は、爆発的に業績を拡大し、雇用も極端に増える可能性がある。他の企業で言えば、従業員が7人から100人に拡大した企業もあります」
自身もときどきYouTubeを楽しみ、観光や食についての動画を観るのが好きでもある。多くの若者に認知されるUUUMが、"宮崎離れ"を少しでも食い止めてくれるのでは、と期待を込める。
「(UUUMのクリエイターは)若い世代に受け入れられる動画を配信しています。宮崎についての動画を配信し、アピールにつながれば嬉しいです」