阪神大震災の記憶を引き継ぐ淡路の風車が倒れた 市長も「非常に残念」とコメント

    強風により倒壊したとみられ、けが人はなかった。

    台風20号は、兵庫県淡路市小倉の北淡震災記念公園にも被害をもたらした。

    8月24日朝、敷地内にある風力発電用の風車1基(全高約60メートル)が根こそぎ倒れているのを公園の男性職員が発見し、県警に通報した。

    強風により倒壊したとみられ、けが人はなかった。

    市によると、風車は2002年、公園内の施設に電力を送るのが目的で設置・稼働した。

    市が所有し、直径45メートルの羽根3枚がついていた。倒壊により、いずれもひしゃげ、羽根の一部や部品などが脇にある市道にまで散乱した。

    風速25メートルになると自動的に停止する機能だったが、昨年5月に落雷を原因とする故障で、長らく稼働していなかったという。

    門康彦市長は午前7時過ぎ、風車の倒壊を伝える内容を写真とともにFacebookに投稿。「残念ですが、この悲しみを乗り越えて更に防災に努める思いを胸に刻んでいます」と綴った。

    公園は、阪神大震災を引き起こし、震災によって地表に現れた野島断層を保存、展示。地震の記憶を後世に伝えていくために整備された。

    門市長はこの日、風車倒壊について公式コメントを改めて発表。この点にも触れた(以下、全文ママ)。

    倒壊した風車は、使用、改修不能でしたが、平成の大震災の記念物、平成の名と共に消えるという不思議な出来事に、防災の思いを新たにしています。

    この風車は、23年前の阪神・淡路大震災の記憶を後世に伝えていくために作られた記念公園内に、平成14年から設置されていました。

    当時の北淡町長であった小久保氏の思い出が一つ消えました。非常に残念でなりません。

    市によると、市内では他に大きな被害は確認していない。今後、風車については撤去し、新設しない方向で進めるという。