back to top

【3分でわかる】築地市場の豊洲移転 揉めまくった経緯と今後

最終結論は来年1月以降

東京都の築地市場移転が揉めまくっている。そもそも、なぜ移転するのか、何が問題か。複雑になって、よくわからない人も多いのでは。 9月30日に東京都が発表した報告書の内容も含めて、経緯から今後の見通しまでまとめました。

1. 開業して80年以上が経った築地市場は、もうぼろぼろ。

築地市場=時事通信

狭い場内をターレーと呼ばれる独特の一人乗り運搬車が走り回り、生鮮食品が所狭しと積まれている。施設は老朽化し、強度や衛生面でも不安がある。

築地に建て替える計画もあったが、そもそも手狭だったこともあり、移転が決まった。

2.移転先の豊洲もやばかった→盛り土をしよう

豊洲で土壌汚染が見つかった=Toru Hanai / Reuters

大きな土地があり、現在の築地市場に近くてアクセスも良いので、移転先は豊洲に決まった。

でも、その土地で発がん性のある「ベンゼン」が基準の4万3千倍も検出され、ほかにも危険物質が見つかった。もともと、東京ガスの工場があったため、土壌が汚染されていた。

土壌汚染対策のために招集された有識者による専門家会議は、2008年に対策を提言した。

地下2メートル分の土を取り除いて、新たに汚染されていない土を埋め戻す。さらに、地上2.5メートル分の盛り土をする。

3.豊洲が完成したのに、盛り土がないじゃないか

豊洲市場青果棟の地下空洞。一面に水がたまっていた=10月16日午後、時事通信

2015年までに土壌対策と建物が完成し、今年11月に移転する予定だった。でも、都知事選で築地移転に慎重な姿勢を見せていた小池百合子氏は知事就任後、地下水の検査を待って最終決断をしようと、移転延期を発表した。

そして今月。主要な建物の下に、あるはずの盛り土がないことがわかって、騒ぎになった。

そこには、土ではなく、コンクリートに囲まれた空間が設けられていて、水が溜まっていた。「汚染された水ではないか。安全なのか」と議論になった。

都のウェブサイトなどでは、すべての敷地で盛り土がされている完成図が公表されていた。安全面だけでなく、都の情報公開体制への批判が高まった。

4.都は工法を変えていた。でも、責任者はわからないまま……

東京都議会経済・港湾委員会で豊洲市場問題について、「説明が事実と異なっていた」と陳謝する岸本良一中央卸売市場長(手前)ら=9月27日、時事通信

この空間は「モニタリング空間」だった。地下水が汚染していないか調査したり、汚染が万が一見つかった場合に作業をするための空間だ。

都によると、「モニタリング空間」を作ることは、専門家会議の提言が出た2008年から検討されていた。当初は「地下につくる」とは決まってなかったが、技術部門の職員では早くから、その考えが共有されていたという。

いつ、誰が、なぜ「盛り土」から「モニタリング空間」に工法を変えたのか。小池知事は調査を指示していたが、9月30日に公表された報告書では「段階的に決まり、誰に責任があったのかわからない」という。

ここで問題となったのが、連絡の不徹底だ。

都によると、2008年の技術会議で「万が一の場合に、汚染水の浄化が可能となるよう建物下に作業するモニタリング空間を確保する」という方針が公表されていた。

モニタリング空間に携わった関係者らは、それで認識が共有されたと考えていたが、多くの関係者は「敷地全体に盛り土がある」という当初の計画のままだと思い込んでいた。そのため、都のウェブサイトでもそう表現されていた。

都の内部でも、土壌汚染対策の担当部署と、建物の担当部署での連携が足りていなかった。「モニタリング空間」の存在すら知らない職員もいたという。議会での答弁や情報公開にも、この連携不足が影響した。

5.「盛り土されていない=安全じゃない」のか

地下空間には配管がいくつもあった=10月24日、時事通信

空間にあった謎の水は地下水だった。都や都議団らの調査結果を見ると、ヒ素や六価クロムは基準を下回り、シアン化合物や鉛もあったが、ほとんどが不検出にあたるレベルだった。

地下水に含まれるベンゼンが気化するのでは、と不安視する声もある。しかし、建物は外気が常に入る設計になっており、気化してもすぐに外気によって濃度は薄くなり、影響はないとする専門家の指摘もある。都がこの空間と市場の沿道のベンゼン濃度を調べると、空間の濃度のほうが低いか、同じ程度だった。

都の調査で9月29日、屋外の別の地下水のベンゼンとヒ素の値が基準をわずかに上回ったことがわかったが、これは飲料水としての基準で、直接、市場が危険になる値ではない。

では、建物を作る人にとって、地下空間はなぜ当たり前なのか。

配管のメンテナンスのために、マンションなど大きな建物の地下にはだいたいこんな空間があるらしい。「後から汚染が見つかったときのため」の作業スペースだったという声もある。空間があることで、耐震性が下がるわけでもないという。

溜まっていた謎の水は、問題の地下水だったが、市場で使う水ではないし、大きな汚染は見つからなかった。めちゃくちゃ危ない、というわけでもない。

6. 移転が遅れると経費がかさみ、東京五輪にも影響する。

賑わう築地市場=Daniel Berehulak / Getty Images

移転が遅れることで、様々な影響が出ている。

すでに完成している豊洲市場は、オープンしなくても、契約している電気・水道、警備費などで1日約500万円の維持費がかかるという。

移転後の築地市場跡地には、東京五輪の選手村と競技会場を結ぶ道路を作る計画だが、築地移転がこれ以上遅れれば、「大会までに完成が間に合わない」と不安に思う人もいる。

7.科学的な結果を待って今後を判断する。

小池百合子都知事=Kensuke Seya / BuzzFeed

建物と環境面の安全性をめぐって、議論が紛糾している。豊洲の安全性を検証する都のチームは10月、まず建物に関して法的に安全だとの認識で一致した。

移転可否について、小池百合子知事は「遅くとも2018年春までに判断する」としている。設備投資の補填を議論する補償検討委員会が立ち上がってもいる。しかし、今後の先行きに不安は残る。

バズフィード・ジャパン ニュース記者

Kensuke Seyaに連絡する メールアドレス:kensuke.seya@buzzfeed.com.

Kota Hatachiに連絡する メールアドレス:Kota.Hatachi@buzzfeed.com.

Got a confidential tip? Submit it here.