歩行中の死者の「法令違反」の割合、死者数トップの県 交通事故のまとめでわかったこと

    警察庁の交通事故のまとめでわかったこと。

    今年1月から6月までの半年間で、交通事故で死亡した人は全国で1603人で、年間の死者数が過去最少だった昨年を下回るペースだったと9月13日、警察庁のまとめでわかった。

    しかし、65歳以上の高齢者の全体に占める割合が、上半期としてはこれまでで最も高くなった。

    警察庁のまとめから何がわかったのか、まとめた。

    1. 死者は昨年より4.3%減

    交通事故の死者数は全国で1603人で、前年同期より72人(4.3%)減だった。5年連続の減少となる。

    2. 65歳以上の割合は過去最多

    死者全体のうち、65歳以上の高齢者は908人で、前年同期比3人減。しかし、全体に占める割合は56.6%で過去最多となった。

    人口10万人あたりの死者は、全年齢層の1.26人に対し、65歳以上は2.63人と2倍以上だ。

    3. 75歳以上のドライバーによる死亡事故は増加

    死者数が減少する一方で、75歳以上のドライバーによる死亡事故は222件で、前年同期比で32件増えた。

    だが、免許人口10万人当たり死亡事故件数は前年同期と比べて増加したものの、過去10年で見ると減少傾向にある。

    4. 最も多かったのが歩行中での死亡事故

    全年齢で、死亡した事故が起きた当時、どんな状態だったかを見ると、最多は「歩行中」で581人だった。

    前年最多だった自動車(563人)を上回る結果で、次いで二輪車(265人)、自転車(190人)と続いた。

    5. 歩行中に死亡した高齢者の約6割が「法令違反」

    歩行中の事故で亡くなった65歳以上の高齢者は407人で、死者全体の4分の1を占める。

    このうち約6割が、法令違反をしていることがわかった。横断歩道以外の横断や走行中の車両などの直前または直後で道路を横断する「横断違反」が最多(30%)だった。

    次いで信号無視(7%)、酩酊など(7%)と続いた。

    6. 死者数のトップは愛知県

    都道府県別の死者数を見ると、愛知が最も多い95人が死亡した。

    次いで、千葉(91人)、埼玉(89人)、神奈川(71人)、兵庫(68人)と続く。最少は鳥取県で8人で、全国で唯一、一桁だった。

    また、東京は61人で、大阪は67人だった。

    交通ルールの徹底や反射材の着用を

    こうした状況に、警察庁は、運転者には横断歩道手前で「減速義務」があり、横断歩道において「歩行者優先義務」があること、歩行者は反射材用品の着用をすべきなどと注意を呼びかけている。

    一方、警視庁では、自らの安全を守るため、次の点を守る必要があるとしている。

    歩行者は信号無視をしないほか、横断歩道や歩道橋を利用し、横断禁止の標識がある道路は絶対に渡らない。また、車両には死角がある点を意識し、「ドライバーは気付いているだろう」と思い込まず、車の動きに注意すること。

    ドライバーは、早めのライトの点灯を心がけ、横断歩道では歩行者が優先であり、いざという時に止まれるスピードにすること。

    さらに、自転車は車の仲間であるため、一時停止の標識のあれば必ず止まり、車が来ていないかを確認してから通過するようにしなければならないという。