東日本大震災から3月11日で、9年となりました。
福島第一原発事故によって、観光業や漁業、農業などすべての産業で風評被害に見舞われた福島の人たちは、必死に風評払拭の努力を積み重ねてきました。
しかし、今、「再び風評被害が生まれるのではないか」と懸念の声があがります。
理由は、福島第一原発の敷地を埋め尽くすように林立するタンク群の問題があるからです。
中には、高濃度の放射性物質を含んだ「汚染水」に、浄化処理を施した「処理水」が入っています。
敷地との兼ね合いで、2022年夏までに処理水の行き場がなくなる、と国や東電は説明。有識者を交えて処分方法が検討され、「海か大気への放出が現実的」とする報告書がまとまりました。
次のステップは、政府が基本方針を決め、東京電力に伝達すること。安倍晋三首相は「できる限り速やかに処分方針を決定したい」としています。
福島の人々の生活は、これからも続きます。望まぬ負担を背負いながら。
原発をめぐる情報は、特に流動的で、意識しなければ入ってこないものが多いです。
しかし、処理水を巡る問題は、決して福島だけの話ではありません。
国全体で考えるべき問題に、多くの人が向きあい、考え、議論する。その一助となる情報を提供できないものか。
その思いで、BuzzFeed Newsは、Yahoo! JAPANとの共同企画取材を続けてきました。
「汚染水」や「処理水」とは。なぜ処分をすべきなのか。どんな思いで、処分に反対する人がいるのか。国や政治家の責任とは何か...。最終回までの9本の記事を紹介します。
1.国と東電の説明は。数字で見る福島第一原発の「汚染水」と「処理水」の行方(2019/11/15)
2.複雑化する福島第一原発の処理水をめぐる国の議論。“最有力案“に反対するメンバーに聞く(2019/12/6)
3.放射性物質を含む水の処分は「安全。でもゼロリスクはない」。その言葉の真意(2019/12/14)
4.背負ってきた「風評被害」の重み 処理水問題に福島の漁業関係者が抱く不信感(2019/12/25)
5.意見わかれる福島の処理水放出の「安全性」 その議論の構図(2020/1/8)
6.<福島第一原発ルポ>目の前で見た無色透明な「処理水」。突きつけられた問い(2020/2/4)
7.処理水の海洋放出「漁師に責任を負わせるな」処理水巡る議論、社会学者の懸念(2020/2/21)
8.見えてきた処理水の海洋放出 それでも元原発作業員の漁師は前を向く「俺らがやらないでだれができる」(2020/3/7)
9.「処理水は海に放出するしかない」最初に公言した閣僚・原田前環境相が考える、国と政治の責任(2020/3/10)
<これらの記事は、Yahoo! JAPANとの共同企画で制作しました。汚染水と処理水をめぐる問題を考える上での一助となるべく、様々な角度から報じてきました。共同企画としては、3月10日の記事が最終回となりましたが、BuzzFeed Japanは今後も、この問題の取材を続けます>