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伊藤詩織さんと元TBS記者が法廷で意見陳述。民事裁判が結審し、判決へ。

伊藤さんは黒いスーツ姿、山口氏はグレーのスーツにネクタイを身につけて出廷した。

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、意識を失った状態で性行為を強要され、重大な肉体的・精神的苦痛を被ったとして、元TBS記者の山口敬之氏に対して慰謝料など損害賠償を求めている民事裁判。

10月7日、東京地裁(鈴木昭洋裁判長)で結審した。判決は12月18日の予定。

伊藤さんは黒いスーツ姿、山口氏はグレーのスーツにネクタイを身につけて出廷した。

山口氏に先立ち、意見陳述に立った伊藤さんは「民事裁判を通し、これまで明らかにならなかった部分が明らかになり、意義のあるものとなりました」とし、自身が受けた被害の大きさ、辛さを語り始めた。

「性暴力は誰かを一瞬にして支配し、右も左もわからない子どもにしてしまうような行為です。普段ならできるような行動ができなくなりました。4年経ってもPTSDの被害に襲われ、睡眠障害にも侵されています」

さらに、本名や顔を明かして被害を訴えたことで「誹謗中傷や脅迫的な言葉も受け」、イギリス・ロンドンに住むことになったとし、最後にこう締めた。

「あの日から自分の尊厳を取り戻すために、できる限りのことを尽くしてきました。この民事裁判もその一つです。同じように苦しんでいる性暴力を受けた人の役に立てれば嬉しいです」

山口氏「伊藤さんは虚言癖」

一方の山口氏は意見陳述で、伊藤さんを「虚言癖」だと非難した。

「(当初は)飲みすぎて記憶を失い、意に反した性行為を行ってしまったと思い込んでしまったものだと思っていました」

「 しかし、その後、伊藤さんはレイプドラックを盛られたと主張し始めました。全く根拠がなく、とても驚きました」

そして、伊藤さんが被害について記した著書について「嘘と捏造に満ち満ちていました」とし、こう語った。

「事実を捻じ曲げ、虚飾に満ちたものを書くのは勝手だが、同じ手法で私を犯罪者に仕立て上げ、私の人生を破壊するなら戦わざるを得ません」

山口氏自身も誹謗中傷のメッセージが世界各国から届いているとし、これまで記者会見や報告会などを断ってきた理由を次のように述べた。

「法廷で真実を誠実に語るのが私が果たすべく使命だと考えているからです。そして、日本の司法がメディアや政治家の雑音に惑わされず、正しい判断を下すと信じているからです」


伊藤さんはこの裁判で、慰謝料など1100万円の損害賠償を求めている。

一方の山口氏は2019年2月、慰謝料1億3000万円や、謝罪広告の掲載を求めて反訴。そのため、裁判では山口氏による訴訟も併合して審理している。