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伊藤詩織は「偽名」とツイートした元東大特任准教授、裁判が結審 法廷での様子は

2人は一度も対面することなく、結審した。

中傷的な複数のツイートを行ったとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが、AIの開発などを行う企業の社長で元東京大大学院特任准教授の大澤昇平さんを相手取り、慰謝料など110万円の損害賠償と投稿の削除を求めた訴訟が4月20日、東京地方裁判所(藤澤裕介裁判長)で結審した。

大澤さん本人はこの日、出廷しなかった。判決は7月6日に言い渡される。

訴状によると、大澤さんは2020年6月、伊藤さんが漫画家のはすみとしこさんらを訴えた後、Twitterで「伊藤詩織って偽名じゃねーか!」とツイートしたという。

大澤さんはこの投稿で、破産事件に関する官報公告の一部と思われる画像を添えた。債務者の欄には、「伊藤詩織こと」と通名が、その隣には本名とされる名前が記され、伊藤さんは外国籍だと解釈できるものだった。

最後の意見陳述で

伊藤さん側は、破産した事実はなく、「伊藤詩織」も本名だと否定。「破産開始決定を受けた事実はなく、社会的評価を著しく低下させることは明らかで、被告はツイート前に事実関係を調べてもいない」と主張した。

また、大澤さんの投稿は、伊藤さんがはすみとしこさんらを提訴したことを中傷するもので「いわば『三次被害』ともいうべき」とし、「被った社会的評価の低下は大変深刻」とした。

伊藤詩織さんが大澤昇平さんに損害賠償を請求している民事裁判は、大澤さんが出席せずに結審した。 2人は最後まで対面することなく、大澤さんは争う姿勢を崩さなかった。判決は、7月6日の予定。

Twitter: @dondon_01

伊藤さんはこの日、法廷で意見陳述に立つと、「何も恐れずに、ネット上で仕事を再開できることを望んでいます。恐怖を感じることなく安心して、道を歩ける日常を望んでいます」と訴えた。

裁判を後にした伊藤さんは、これまで一度も大澤さんに会ったことがない事実に触れつつ、「私の思いが少しでも伝わればと思っています」とも語った。

一方、大澤さんは請求棄却を求め、争う姿勢を示している。大澤さんの代理人はこの日の閉廷後、各社の取材に応じなかった。

伊藤さんの代理人によると、大澤さんは、伊藤さんと同姓同名の人たちがおり、自身の投稿がジャーナリストの伊藤さんを指しているとは限らない。そのため、社会的な評価は下がらず名誉毀損は成り立たない、などと反論しているという。

BuzzFeed Newsは大澤さんに取材を申し込んでいる。

審理が続く他の裁判

伊藤さんを巡っては、元TBS記者の山口敬之さんから性行為を強要されたとして民事訴訟を起こし、一審で勝訴。山口さん側が東京高等裁判所に控訴し、審理が続いている。

また、はすみとしこさんら3人に対し、損害賠償とともにそれぞれ該当するSNSでの投稿を削除し、はすみとしこさんには謝罪広告を掲載するよう求めて裁判を起こした。

さらに、自身を誹謗中傷する内容が記された多くのTwitterの投稿に対し、「いいね」を押されたことで精神的苦痛を受けたなどとして、杉田水脈衆院議員(自民、比例中国ブロック)を相手取り、損害賠償を求めている。