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“枕営業”イラストが「私の魂を傷つけた」  法廷で漫画家を伊藤詩織さんが批判

計770万円の損害賠償と該当するTwitterでの投稿の削除のほか、はすみとしこさんには謝罪広告の掲載を求めている。

SNS上で事実に基づかない誹謗中傷の投稿により精神的苦痛を受けたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが、漫画家のはすみとしこさんら3人を相手取り、損害賠償などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が11月17日、東京地方裁判所(小田正二裁判長)であった。

計770万円の損害賠償と該当するTwitter投稿の削除のほか、はすみさんには謝罪広告の掲載を求めている。

はすみさんは出廷しなかったが、これまでに複数回、「風刺画は完全なフィクション」「実際の人物や団体とは関係がありません」などとツイートして反論している。

伊藤さん側の弁護人などによると、3人はいずれも請求棄却を求め、争う姿勢を示しているという。

訴状によると、はすみさんはTwitterアカウントで、伊藤さんが「枕営業をした」と示唆するようなイラストを投稿するなどしたという。

伊藤さん側は、「顔と実名をあきらかにして社会に向けて被害を訴えた原告に対して、その訴えを精神障害からくる虚言、いわゆる『枕営業』の失敗から来る逆恨み、金銭目当ての虚偽と愚弄し、本件判決を偽りの涙を流して勝ち取ったと断じるもので、その内容は極めて悪質です」とし、性被害に続く二次被害(セカンドレイプ)であると訴えている。

そのうえで、伊藤さんがこれまでに主張してきた内容に虚偽はなく、東京地裁が「勝訴」という形で主張を認めているとし、該当するはすみさんの投稿はいずれも「公益を図る目的があったとは認められない」としている。

リツイートについて裁判所はどう判断するか

一方、他の被告2人は、はすみさんのイラスト付の投稿をリツイートするなどしたという。

訴状には「自身のフォロワーに対し、当該元ツイートの内容に賛同する意思を示して行う表現行為と解するのが相当」で「社会的評価の低下、原告の名誉感情の毀損についても責任を負うべき」などと記されている。

伊藤さんの代理人である山口元一弁護士は6月の提訴時、「リツイートにも責任があることをわかってほしい」と話していた。

この日、出廷した伊藤さんは意見陳述に立つと、「私は、初めて自分の被害を嘲笑うようなイラストを見た朝のことを今でも忘れられません。そのイラストは私の魂を深く傷つけました」と話し始め、裁判官たちに「私の被害を正面から受け止めていただきたい」と訴えた。

なお、はすみさんのTwitterアカウントは11月17日現在、凍結されている。

伊藤さんは、元TBS記者の山口敬之さんから性行為を強要されたとして民事訴訟を起こし、一審で勝訴。山口さん側が東京高等裁判所に控訴し、審理が続いている。

また、伊藤さんは8月、自身を誹謗中傷する内容が記された多くのTwitterの投稿に対し、「いいね」を押されたことで精神的苦痛を受けたなどとして、杉田水脈衆院議員(自民、比例中国ブロック)を相手取り、損害賠償を求めている。

さらに、Twitter上で事実に基づかない中傷的な投稿をし、社会的評価を著しく低下させたなどとして、大澤昇平・元東京大大学院特任准教授を相手取り、損害賠償や投稿の削除を求める裁判を起こしている。