インスタグラムなどSNSを使って、結婚式の準備過程から当日の様子まで発信する花嫁が増えている。
2018年に結婚式を挙げた、会社員のナホさん(仮名、28)はその一人だ。
最近の”花嫁”は、なぜ発信しようと思うのか。話を聞くと、単に「見てもらいたい」だけではない理由があった。
ナホさんは2017年に結婚。それから1年ほど後、式の準備を始めた。神奈川県で暮らし、式場に選んだのは夫婦ともに好きな鎌倉だった。
時を同じくして、インスタでウエディング用の別アカウントを作る。そして、ハッシュタグ「#2018花嫁」などをつけて、投稿を始めた。
別アカウントにしたのは、式に参加する人に、当日の内容を秘密にしておきたかったからだという。
なぜ投稿を始めたのか
ただ、そもそもなぜ投稿を始めたのか。ナホさんは言う。
「いろいろな人に見てもらいたいわけではなかったんです。自分の記録用として残しておきたいなと思って。結婚式に向けて意識を高めるためでもありました」
昨今、結婚式を控える多くの「プレ花嫁」が、インスタ上でアカウントを作って投稿するのが当たり前の光景になってきた。
ナホさんは同じプレ花嫁をフォローして、投稿を参考にし、自身の結婚式に取り入れたかったとの理由もあったという。
「#プレ花嫁」の投稿数は430万件超
結婚準備のクチコミ情報サイト「ウエディングパーク」は、近年、結婚式の準備に影響を与えているツールが「インスタ」だと分析する。
同社の調べでは、「#プレ花嫁」の数は、ここ2年で 2.5 倍以上に増加。投稿総数は、2019年2月現在、430万件を超えるという。
同社の広報担当者である飛田剛志さんは「結婚式に“自分らしさ”や“オリジナリティ”を求め、プランニングに積極的に関わっていくカップルが多いことが背景にあると考えます」と話す。
ナホさんも実際、ウエディングドレスやブーケ、髪型などをSNSで参考にしたといい、こう言う。
「来場者に『来て良かったな』と思ってもらいたいのが一番でした。だから、式場に丸投げするのではなく、自分が本当にやりたい式にしたかったんです」
「プレ花嫁」や「卒花嫁」との交流
自分の理想を実現するため、他の人の情報を積極的に集める。その流れで、プレ花嫁や結婚式を終えた「卒花嫁」との交流も、自然と生まれている。
SNS上でのやりとりに終始する人もいる一方で、直接会って交友関係を広げる人もいる。
ナホさんは前者だったといい、同じ会場で式を挙げた卒花嫁に「ドレスは、どうやって選ばれたんですか?」とインスタで尋ね、快く回答をもらった経験がある。
気持ちの変化が生まれた
インスタをアルバムとして、さらには「教えてもらう」立場として活用する中で、変化も生まれた。
他のユーザーに「準備の参考にしたいです」とのメッセージが寄せられると、それに「応えたい」「恩返ししたい」と思うようになったのだ。
たとえば、こんな内容のメッセージが届くという。
"(同じ会場の)プレ花嫁の●●です。担当のカメラマンを教えてほしいです。ドレスはどこのですか?"
ナホさんは「嬉しくて、たくさん情報をアップして、教えてあげたいなという気持ちになりました」とはにかむ。
結婚式の1ヶ月後には、先出の「ウエディングパーク」が提供する「ハナレポ」に取り組み、投稿した。
式場決定から挙式当日までの結婚式準備の様子が時系列でわかるので、アルバムのように振り返れる点に魅力を感じた。
また、いつ、何の準備をすべきわからない人に参考にしてもらえると思ったという。
ナホさんのウエディング用インスタアカウントは、両親への手紙の投稿を最後に更新を終えるそうだ。
ただし、アカウントは残す。そして、もしメッセージが寄せられたら対応し、他のウエディングアカウントをときどきは覗きたいという。
ナホさんは「終わったら寂しくなりそうなので、ゆっくりアップしていきます」と笑うと、最後にこう話した。
「投稿するのは楽しくて、『わあ、良いな』って言われるとなおさら嬉しかったです。ただ考えてみると、実は『みんなに見てほしい』という気持ちもあったのかな。SNSのドツボにハマっているのかもしれないですね」
更新
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