32回目の北朝鮮訪問から帰国したアントニオ猪木氏の緊急会見 海外特派員に語ったことは

    9月11日に北朝鮮から帰国した猪木氏。会見で何を語ったのか。

    「元気ですかー!? 元気があればなんでもできる!」

    アントニオ猪木参議院議員は9月13日、お馴染みのBGMで日本外国特派員協会の会見場に姿を見せ、はじめにそう挨拶した。

    「緊急報道昼食会」と銘打たれた記者会見。9月7日に北朝鮮入りし、11日に帰国して北朝鮮の外交トップらと”対話”をしてきた猪木氏は、何を語ったのか。

    日本は米朝の拳を下げさせる立場に

    猪木氏は、スポーツ交流などを通して北朝鮮との固いパイプを維持してきた。1994年の初訪朝から今回で32回目の訪問だったという。

    「1日でも早い平和を願ってきましたが、逆に時代を重ねるとともに緊張が高まり、一番最悪な核戦争までも起こりうるのではないかという状況にきております」

    経済制裁などによる圧力が北朝鮮問題の根本的解決にはつながらないとする猪木氏は、米朝関係について持論を展開し、日本はどのように外交すべきなのかを説いた。

    「どちらが先かは別として、北朝鮮が高く上げ、アメリカがそれよりも高く上げた。今どちらが拳を高く上げられるかのように私には見える。日本は唯一の被爆国。仲介役に立って拳を半分に下げるような外交をしてもらいたい」

    猪木氏の回答に報道陣からは失笑も

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    Kensuke Seya / BuzzFeed

    ▲お馴染みのBGMで登場したアントニオ猪木議員

    冒頭、このように話すと、会見に出席した海外メディアの特派員らからの質問が始まった。しかし、猪木氏の回答を聞いた報道陣からは時折失笑が漏れた。

    「日本政府の対応を北朝鮮側がどう評価しているのか」

    そう問われた猪木氏は作家の佐藤優氏を引き合いに出し、こう答えた。

    「最初は北朝鮮では30分黙って聞いてなきゃいけない。それもある意味大事ですが、本音の話をしましょうと言って会談している。ウオッカでロシア人をぶっ飛ばしたのは私だけだろう、と佐藤優くんが書いていますけどね。そういう意味で、政治家あるいは外交は体力も必要だよと。正確な答えになっていますかね」

    自民党内の空気が変わり、対話も必要だと考える議員が増えていると主張した猪木氏に、どのくらいの人数が変わったのかとも聞かれた。猪木氏は、次のように逆質問で返した。

    「私の場合はこういうキャラクターですからどこから叩かれようが問題ない。ですが、名前を出してしまうと、政界の中でいろいろあると思うので(答えるのは)差し控えさせてもらいたい。私が質問させていただきたいのは、日本の不倫問題はどうお考えですか。女性の立場から」

    制裁ではなく交流と対話を。こう主張していた猪木氏は、北朝鮮に姿勢を変えるよう言わなかったのか。猪木氏の口から出た答えは「聞くことが一番大事」だった。

    「やはり相手の状況を見極めながら外交をやっていかないといけない。北朝鮮に対する片棒を担ぐという言い方をする人もいるが、相手が何を考えているのかを聞くことが一番大事」

    猪木氏は今回の訪朝の成果として、日本の国会議員からなる「訪朝団」の提案を挙げた。「了承しましたと言ってくれた」といい、政府ではなく議員による交流も重要だと強調した。

    「今大事なのは、健康に勝るものなしということで、私も歳を重ねてきましたので、腰も痛いし、首も痛い」と会見の冒頭で自らの近況を述べた上で、「信念とブレなさ、生き様を大事にしたい」と強く訴えると、最後はこう会見を締めくくった。

    「行くぞー!1、2、3、ダー!」

    BuzzFeed JapanNews