売春だけではない日本の人身取引の実態 ベビーシッターや農作業をする人も

    警察庁が、売春や労働を強制する人身取引の被害状況をまとめた。

    金銭や労働力の搾取を目的に売春や労働を強制する人身取引は、国内でも発生している。

    警察庁は2月16日、2016年に全国で検挙した人身取引事件をまとめ、公表した。BuzzFeed Newsは、警察庁から資料を受け取り、被害状況をグラフにした。

    日本人は、前年より12人増えて25人だった。統計がある2001年以降で最多となった。

    圧倒的に女性が被害に遭っている。16年の女性の割合は95.7%だった。

    19歳以下と20〜29歳の被害者が増えており、両方で全体の80%以上を占める。

    16年の被害の大半が、売春などの性的搾取で80.4%。

    このような検挙事例がある。

    【大阪】容疑者は、SNSなどで知り合った家出中の日本人女児ら6人に売春に関する契約書を書かせ、マンションに住まわせた。そして、理由もなく罰金を名目に、出会い系サイトなどで募った客と売春させた。

    【東京】タイ人女性4人が、現地のブローカーの「日本に無料で観光に行ける」という言葉を信じて来日。だが、容疑者が渡航費などの名目で借金を返済するように求め、デリバリーヘルスなどで売春を強制した。

    【愛知】容疑者は、フィリピン人女性3人に偽装結婚させて来日させた。その後、パスポートを取り上げ、自分が経営する店でホステスとして働かせた。

    いずれも、金銭目的だった。

    ベビーシッターや農作業の被害も。

    その他の被害者とは。15年の被害者5人はそれぞれ、ベビーシッターと農作業のほかに、土木作業、飲食店従業員を強制された。

    16年には、3人が労務作業と建設作業をさせられた。そのうち、2人は16歳と17歳の少年で、それぞれ建設現場や工場で無理矢理働かされ、暴力団などに報酬を搾取されたという。

    全国の都道府県警は、今後も取り締まりの徹底を図る。

    (サムネイル:Aradaphotography / Getty Images)