林業の危機? トラック生産中止「死活問題」 ブログが拡散し、メーカー「検討」

    山道に強い2トントラックが消えていく現実に林業者が声をあげた

    「昨今、林業の存続を断ち兼ねない事態が起き出しています!」

    山道に適したトラックが生産中止?

    「吉野の杣人」さんによるブログ記事の概要は、こうだ。

    これまで山道を走るのに適した2トントラックが普及し、使われていた。車体の底が凸凹の地面に当たらないほど高く、急勾配や悪路も安定して走る。

    しかし、各メーカーで、そんなトラックが生産中止になってしまった。現在、各メーカーが生産しているトラックは、昔より車体の底が低くなり、パワーが足りない。山道よりも、長距離走行に向いた燃費の良い車になっている。

    林業者は、旧型のトラックをずっと使わなければならず、壊れて買い換える際も中古車を探し求めるしかない、という。

    山道を走るだけなら、足回りがゴムキャタピラになった材木を運ぶ専用の車両もある。だが、長い距離を走り、材木を短い時間で運ぶには向いていない。しかも高額だ。

    「吉野の杣人」さんは、これが林業を営む上で死活問題になっているという。

    林業の危機とは本当なのか。BuzzFeed Newsは、日本林業協会に話を聞いた。

    協会の篠原宏事務局長は「(ブログの筆者が)トラックの生産停止で、今までのやり方が続けられないで困っているのはわかります」と話す。

    ただし、「林業の危機」という見方には否定的だった。「業界では4トン以上のトラックを使うのが一般的になっている」からだという。

    山によっては狭く、4トントラックが走れずに、2トントラックを使う林業者もいる。「そういう人たちにとっては、大変なことだと思います」

    2トントラックを使う「吉野の杣人」さんが求めるのは「生産中止車の再生産」か「山道を走れるようなオプションの追加」だ。

    BuzzFeed Newsは、日野自動車といすゞ自動車に問い合わせた。

    いずれのメーカーもブログ記事を読んだといい、それぞれの広報担当者からメールで回答があった。

    過去に生産したトラックは「悪路走行に耐える仕様だった」(日野自動車)

    これが新旧のトラックの違いだ

    日野自動車

    左が旧型のトラック、右が現行のトラックだ。

    「乗用車に例えれば、オフロード走行も意識したSUV系四駆と乗用車の日常用四駆との違い、という感じです」

    日野自動車

    左が旧型のトラック、右が現行のトラックだ。

    「乗用車に例えれば、オフロード走行も意識したSUV系四駆と乗用車の日常用四駆との違い、という感じです」

    日野自動車

    左が旧型のトラック、右が現行のトラックだ。

    「乗用車に例えれば、オフロード走行も意識したSUV系四駆と乗用車の日常用四駆との違い、という感じです」

    「ご要望に応えられず大変心苦しいのですが…」

    「少ないとはいえ需要があることは認識しています」

    では、一部の林業者が直面している危機を救えるのか。

    「いかんせん見込める販売台数が少ないため新開発して再販売、という可能性はほとんどありません。ご愛用いただいているお客さまには、ご要望に応えられず大変心苦しいのですが…」

    一方で、いすゞ自動車は「山道に対応できる車を提案できないか検討したい」

    詳しい情報がないと回答が難しいとして、生産しているトラックについて、こう説明した。

    「現場の状況が把握できておりませんため、接触するかしないかについては判断できかねる状況でございます」

    山道を走るのに見合う車は、生産されているのだろうか。

    「高床4WDかつ悪路走行にも対応した車型がいくつかありますことから、これをご提案できないか色々検討しているところでございます」

    「弊社販売会社とお客様(吉野の杣人さん)とで話を進めていただいています

    ブログの拡散が林業者とトラックメーカーをつないだ。

    吉野の杣人さんは10月27日付のブログでこう書いている。

    それにしても、ネットの力は凄いです。こんなに沢山のアイデアとアドバイスが頂けるとは!

    とりあえず、何らかの打開策は踏み出せそうです

    本当に! 皆様、ありがとうございます!