実家に届いた架空請求業者からのハガキ。電話をしたら、まさかの展開に

    タイトルは「消費料金に関する訴訟最終告知のお知らせ」。「法務省管轄支局 訴訟最終告知通達センター」との名称が書かれていた。

    神奈川県内の実家に突然、一通のハガキが届いた。

    タイトルは「消費料金に関する訴訟最終告知のお知らせ」。「法務省管轄支局 訴訟最終告知通達センター」との名称が書かれていた。

    BuzzFeed

    受け取った母親はとても驚いたという。

    身に覚えのないのだから当然だ。ネットで調べた後、「詐欺です、と書いてあったからホッとした」と私にLINEをくれた。

    法務省「詐欺です」

    今回のハガキの件を法務省広報課の担当者に伝えると「詐欺です。まずもって法務省では『管轄支局』という名称を一切使っていません」とBuzzFeed Newsに話す。

    昨年以降、全国でこういった法務省の名称を不正使用した架空請求による被害が後を絶たないという。

    ハガキのことも、封書が使われることもあるが、手口は似ている。差出人はいずれも「法務省管轄支局」。そこに、今回のような「訴訟最終告知通達センター」や、「国民訴訟通達センター」「民事訴訟管理センター」 「国民訴訟お客様管理センター」といった名称が続く。

    しかし、「これらの団体は法務省とは一切関係がない」と担当者は説明した。

    法務省

    法務省への問い合わせは、今年6月からの5ヶ月で数千件にのぼり、少ない日でも50件ほどの電話があるという。

    こうやって「詐欺だ」と気づく人がいる一方、信用してしまう人もいるという。

    実際にハガキや封書に記載の固定番号に電話をしてしまったことで、多額の金銭的被害を受けた人も多数いるという。

    法務省

    どういった被害が実際にあったのか

    では、詐欺だと知らずに電話をかけるとどうなるのか。法務省によると、こうだ。

    具体的にどんな内容での請求かを知らされることはなく、弁護士などの紹介費用として,収納代行サービスやプリペイドカードなどを利用させる。

    さらに100万円〜200万円を払うよう指示され、二重にも三重にもわたって金銭をだまし取るといった手口が報告されているそうだ。

    消費者庁によれば、全国における架空請求に関する相談件数は、2004年が最多で、減っていった。しかし、17年に入って増加傾向が続いている。

    手法は、電子メールやSMSによるものが大半を占めていたが、17年度にハガキによる架空請求が急増した。

    消費者庁の担当者は「(悪質業者は)時代を見て、ハガキならば信用されると思っているのかもしれない」とBuzzFeed Newsに話す。

    悪質業者に電話をかけると...

    なぜこのような詐欺に手を染めるのか。BuzzFeed Newsは、実家に届いたハガキに書かれた固定電話の番号に電話した。

    すると、予想外の結果となった。

    ーもしもし。「訴訟最終告知のお知らせ」というハガキが届きまして、電話をさせていただきました。

    はあ、なんすか?うち、一般宅なんですけど。なんすか。そういう電話何件かきてるんですけど、うち全く関係ないんですよ。

    ーハガキに記載されている問い合わせ窓口が、こちらの番号なんです。

    窓口?うち10年以上、普通に使っている番号なんですけど、なんすか?

    ーなんすか?と言われても、ハガキに記載されている番号がこちらなので。

    それ絶対間違いなので、もうかけてこないでください。

    ー何件かかかってきているんですか?

    そうですね。

    ーでは、無関係ということですかね。

    関係ないですね。はい。

    ーなるほど、わかりました。ありがとうございました。

    はい。(プープープープー)

    つながった相手は「架空請求業者」ではないとの主張だった。

    法務省によれば、同様の事案を警察や消費者庁などが把握し、捜査にあたっている。

    BuzzFeed Newsからの電話を取った相手は、なぜ「一般宅なんですけど」と言ったのか。理由はいくつか考えられる。

    まず、全く無関係の番号が、勝手に使われていた可能性だ。あるいは、間違った番号を記載した可能性もある。

    もう一つ考えられるのは、詐欺犯らが隠蔽工作に出た可能性だ。

    複数の電話番号検索サイトで、この番号の検索が10月21日ごろから急増している。実家にハガキが届いたのも、このころだった。この番号を「架空請求の電話番号」と表示するサイトもある。

    このため、詐欺犯らがこの番号を使うことを避け始めたのかもしれない。

    あるいは、20歳代の記者の声を警戒し、とぼけたという可能性も考えられる。

    いずれにせよ、この番号が誰のものなのかははっきりしないままだ。

    被害に遭わないためのポイント

    消費者庁 / Via caa.go.jp

    しかし、今なお被害に遭っている人がいる。被害を防ぐため、以下のことを知っておいてほしい。

    • 民事訴訟の訴状が提出されたことを、法務省が通知することはない。
    • もし本当に裁判を起こされていたら、その訴状は「特別送達」と記載された裁判所の名前入りの封書で、裁判所から送られる。
    • 郵便局の職員が手渡すのが原則であり、郵便受けに投げ込まれることはない。


    この件で、なにより大切なのは、すべてを無視して相手にせず、記載された電話番号に絶対に連絡しないことだ。

    それでも不安は残るかもしれない。その場合は、法務省の代表番号(03-3580-4111)に電話をしてほしい、と法務省の担当者は話す。

    「法務省に問い合わせていただくのが、不安を取り除くうえで間違いないと思っています。法務省管轄支局からハガキや封書が届いたと連絡いただければ、広報室につながるので、『詐欺だ』とお伝えします」

    バズフィード・ジャパン ニュース記者

    Contact Kensuke Seya at kensuke.seya@buzzfeed.com.

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