ゴーン被告の弁護人が「私は裏切られた。しかし...」と海外逃亡の原因としたもの

    「個人的な意見」と断りを入れたうえで、見解を明かした。

    日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告が、保釈中にトルコ経由でレバノンに逃亡したのを受け、弁護団の1人である高野隆弁護士が1月4日、自身のブログで見解を明らかにした。

    高野弁護士は「私の個人的な意見であり、弁護団の意見ではない」と断りを入れ、ゴーン被告と以前にあったやりとりを紹介。

    「われわれを信頼してほしい。必ず結果を出してみせる」と言った時には、ゴーン被告は「納得してくれたように見えた」としたうえで、「手続きが進むにつれて、彼の疑問や不安は膨らんでいったようだ」と綴った。

    しかし、次第にゴーン被告の疑問や不安は膨らんでいったとし、とりわけ絶望したのは、保釈条件として妻、キャロルさんとの面会を原則禁止されたことだと指摘した。

    12月24日にあった妻との1時間のビデオ面会後、「カルロス、とても申し訳ない。本当に日本の制度は恥ずかしい。一刻も早くこの状況を改善するために私は全力を尽くすよ」と語りかけたが、返事はなく、高野弁護士の存在などないかのようだったと振り返った。

    「確かに私は裏切られた。しかし」

    そして、その1週間後である31日朝、報道によって海外逃亡を知ったという。

    「まず激しい怒りの感情がこみ上げた。裏切られたという思いである。しかし、彼がこの国の司法によって扱われてきたことを思い返すと、怒りの感情は別の方向へ向かった」

    高野弁護士は「私の中ではまだ何一つ整理できていない」とした上で、ゴーン被告が海外逃亡した原因は、日本の司法制度にあるとの見解を示した。

    「彼がこの1年あまりの間に見てきた日本の司法とそれを取り巻く環境を考えると、この密出国を『暴挙』『裏切り』『犯罪』と言って全否定することはできないということである」

    そして、こうブログの文章を締めた。

    「確かに私は裏切られた。しかし、裏切ったのはカルロス・ゴーンではない」