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「ルールとはなんだろう」と問いたい "ブラック校則"の経験者は少なくなかった

行き過ぎた校則と指導の実態調査の結果(速報値)が発表された。

全国の学校にある行き過ぎた校則(ルール)を社会全体で見直そうと考える「"ブラック校則”をなくそう!プロジェクト」が3月8日、校則と指導の実態調査の結果(速報値)を発表した。

アンケート調査の結果、3人に2人が中学時代、2人に1人が高校時代に「ブラック校則」を経験したなどと報告し、社会全体で目を向ける必要があると訴えた。

Saori Ibuki / BuzzFeed

プロジェクトは2017年12月、有志で発足した。活動は主に3つで、実態調査、署名活動、子どもたちにふさわしい校則やルールの提案をする。

ブラック校則を「一般社会から見れば明らかにおかしい校則や生徒心得、学校独自のルールなどの総称」だと定義している。

この日に発表された実態調査は、量的調査と質的調査にわかれる。

量的調査は、調査会社を活用し、インターネットを通じて計4000人に実施したアンケートによるもの。10〜50代の男女、現役中学生と現役高校生の保護者から過去と現在について尋ねた。

その結果、地毛が「黒髪ストレート」ではない人の割合は約40%だったとわかったという。

Saori Ibuki / BuzzFeed

生まれつき黒髪でくせ毛の人は約25%、茶髪の人は約9%いた。金髪で生まれた人は約1%だった。

「日本人で生まれた=黒髪ストレート」と決めつけられないことがわかる。

さらに生まれつき茶髪だった人に「黒染め指導」の経験を聞いた。すると、高校時代の経験を聞いた人の約20%が、中学時代の経験を尋ねた人の約10%が「はい」と答えた。

Saori Ibuki / BuzzFeed

そのほかに、10代の回答者の6人に1人が中学時代に校則で「下着の色」を決められていたり、「ブラック校則」がない学校ではいじめの経験者の割合が下がったりしていた。

この調査を担当し、Twitterの「#ブラック校則」で体験談を募集してきた評論家の荻上チキさんは会見で次のように述べた。

「校則による指導で先生も忙しくなっている面もある。校則について改善していくのはもちろん、校則という統率する手段以外で生徒と向き合える労働環境を作っていくべきではないかと思います」

今後は、学校の教諭らにも量的調査の対象を広げたいとし、「現場をどう改善していくのがいいのかヒントが得られるような調査になったと思う」と手応えを語った。

「セクシャルマイノリティ」「不登校」「貧困」の3つのテーマで

Mofles / Getty Images

一方、質的調査はプロジェクトのHPのフォームやメールで寄せられた事例のほか、メンバーによる当事者たちへのインタビューをもとに分析するもの。

これまで寄せられた事例は計94件。ある女性は、中学時代に下着の色を指定する校則があり、男性教諭に下着の色を確認され「今日、下着、青だったでしょう?ダメだよ」と言われ、恐怖を感じたという。

メンバーによるインタビューは「セクシャルマイノリティ」「不登校」「貧困」の3つのテーマにわけ、それぞれの当事者に話を聞いた。

発起人の一人である増原裕子さん(LGBTアクティビスト)は、男女の枠にとらわれない性自認の「Xジェンダー」の当事者ら3人にインタビュー。

いずれも高校生で、制服や校則がないのを理由に定時制高校に通うことになった、などの事例を語った。

増原さんは「性的マイノリティの人は暗黙のルールとして存在する男女分けなどの規範の中で過ごすだけで、学校生活全体が困難になる」と指摘し、「性の多様性について知識がある教師がまだまだ圧倒的に少ないです。知識の啓発が急がれるのでは」と訴えた。

「ルールとはなんだろう」と問いを投げかけたい

10max / Getty Images

また、「不登校」と校則の関連について調べた須永祐慈さん(NPO法人ストップ!いじめナビ・副代表)は、不登校経験者の約10%が「学校の決まりなど問題」がきっかけだったとする文部科学省の調査結果を引用し、次のように話した。

「子どもたちの声をすくい上げ、改めて『ルールとはなんだろう』と問いを投げかけるような活動を継続していきたいです」

渡辺由美子さん(NPO法人キッズドア・理事長)は、健康被害を誘発させたり、経済的配慮に欠けるものなどがあり「明らかに時代に合わなくなっていると思うものがあるのでは」と危惧する。

「私たちは、これは良い、これは悪いと個別の校則を決めつけたいわけではありません。子どもや保護者、学校現場、地域にとってより良い学びの場になってほしいと考えます」

なぜ今、変えようと思うのか

プロジェクトが発足したきっかけは、生まれつき茶色い髪の毛を持つ女子生徒が昨秋、裁判を起こしたからだ。

彼女は教員から黒染めをするよう強要されたことで、身体的・精神的苦痛を受けて不登校になったと訴えていた。

それを知った別の女性が、生まれつき茶髪だったために苦しんだ過去をカメラの前で証言してくれた。

Kensuke Seya / BuzzFeed / Via Facebook: video.php

祖父がアメリカ人で、美しい髪色を持つ。それが原因でいじめにも遭った。思い出せば涙が頬を伝う。

この春、高校を無事に卒業し、これからは校則に縛られることはなくなる。母親への感謝の気持ちを文章でこう伝えたという。

卒業してやっとママを安心させれます。今まで生きてきて、すごく大変な思いをした時期もあったけど今それを乗り越えて幸せになれたと思います。育ててくれて有難うママ。

今回の調査で、全国には生まれ持った容姿により「黒染め強要」を受けた経験がある人たちがいる、と改めて明らかになった。その数は、少ないとは言い切れない。

文部科学大臣にかけあう方針

「茶髪で生まれなければよかった」。彼女のように自らを否定せざるを得ない環境に置かれる人もいるだろう。さらに、他の「ブラック校則」に今も悩んでいる人もたくさんいるはずだ。

プロジェクトは今後、調査結果を分析してまとめ、プロジェクトの趣旨に賛同する約3万人の署名とともに文部科学大臣に提出する方針だ。今の時代に合った教育現場にしてもらえるよう、かけあう。

引き続き、ネット上で署名を集め、「ブラック校則」の事例をHPで募集する。

署名活動はこちらからできる。また、ホームページはこちら


BuzzFeedでは量的調査の結果をグラフでわかりやすくまとめた「“ブラック校則" 実態調査でわかった9つのこと」という記事も配信しています。

バズフィード・ジャパン ニュース記者

Contact Kensuke Seya at kensuke.seya@buzzfeed.com.

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