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動物たちが人類を訴えた! 「もしも?」の”法廷バトル”本が大人も学べてすごい!

もしも、絶滅危惧種の動物たちが人間を相手取って訴えたなら……。それぞれの裁判の判決にびっくりする児童書「『もしも?』の図鑑 絶対危惧種 救出裁判ファイル」を読んでみた。

絶滅に危機に瀕している動物たちが、人間を相手に裁判をする!

そんなまさかの法廷バトルを通して、さまざまな動物たちがどうして苦しい生活に追いやられたのかを教えてくれる本がある。書店の児童書コーナーに置いてあるこれだ。

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著者は、大渕希郷さん。上野動物園・両生爬虫類館の飼育展示員、日本科学未来館の科学コミュニケーターを経て、現在は京都大学・野生動物研究センターの特定助教だけでなく、日本モンキーセンターのキュレーターも務めている。

動物園や水族館で見ることができるライオンやホッキョクグマ、ラッコだって、実は絶滅危惧種なのだ。

愛くるしい彼らが、人間を訴えるだと?さすが「もしも?の図鑑」である。斬新なアイディアに一気に引き込まれ、本を取ってすぐにレジへと向かった。

動物(原告)vs 人間(被告)のバトルは4つのテーマ

実業之日本社 / Kensuke Seya / BuzzFeed

2015年に発売されたこの本では、「棲息地をめぐる裁判」「外来種をめぐる裁判」「乱獲・害獣駆除をめぐる裁判」「故郷と自立をめぐる裁判」の4つのテーマで、”動物 vs 人間”の法廷バトルを動物ごとに展開。

IUCN(国際自然保護連合)と日本の環境省が、それぞれ絶滅の危険度で分類した「レッドリスト」を使って動物(原告)のプロフィールと証言、人間(被告)の弁明を載せる。

そして、裁判官の「神様」が判決を下し、現在の保護の取り組みなどの情報も示している。

人間が、いかに動物を絶滅の日へと歩ませているのかをイラスト付きで説明しているだけでなく、漢字には全てふりがながあり、子どもでもすらすらと学べる内容となっている。

大渕さんは、法廷上のセリフについてこう説明している。

動物たちが人間に対してどんな思いを抱いているかは、誰にも分かりません。だから、この本の動物のセリフは、科学データを参考に想像したものです。そして神様のセリフは私の想いです。

本の一部を見ていきたい。

キタシロサイ vs 人間!

Chris Jackson / Getty Images

大きな角を持ち、人気があるシロサイ。2種類いるシロサイの内、キタシロサイは絶滅危惧種だ。現在、世界でもう3頭しか生きていない。1頭がオス、2頭がメスだが、自然繁殖には限界を迎えた高齢だ。

法廷の様子を見てみる。

原告(キタシロサイ)は、こう証言する。

「人間はおそろしい。私たちの角を獲るためだけに、私たちを殺すんだ。しかも角を獲る人間は、角の価値が上がるからといって、私たちの絶滅を願っているらしい」

一方、被告(人間)の弁明はこうだ。

「サイの角は、漢方薬のためにとても必要でした。一時期、保護に乗り出したのですが、内戦が始まり、正直に申し上げてそれどころではなくなってしまったのです」「何とか密猟者の手から守り、繁殖させようとしています。本当に申し訳ない」

気になる判決は、、、人間の有罪!!

神様はこうコメントする。

「原材料となる動物の数が減るほど、その価格がさらにはね上がることも、密漁や闇取引がなくならない原因のひとつじゃ」「法律の整備をふくめた保護活動はもちろん、動物に対しての道徳心も育んでもらいたいものだ」

こんなやりとりで、絶滅危惧種の動物ごとに法廷バトルが繰り広げられる。補足情報もしっかりあり、キタシロサイのページでは、漢方薬にするため取引される角の相場や、絶滅させないための人工授精の試みを詳しく載せている。

あなたのペットも実は絶滅危惧種?

「故郷と自立をめぐる裁判」がテーマの章では、ペットショップで売られる身近な動物が、人間の手によって繁殖されて大量にいるものの、野生では絶滅の危機に追いやられていることがわかる。

かつて私(記者)が飼っていたある動物が、絶滅危惧種に指定され、シリア内戦によって住処を追われているのをこの本で初めて知り、驚いた。どんな動物がいるかは、本を読んで確認してもらいたい。

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大人も「ハッ!」とさせられるだろう視点

Ruben Salgado / Getty Images

本を通して、改めて私たちの生活に動物たちが深く関わり、人間を支えているのに気づかされる。たった1種類の動物が絶滅したとしても、人間の生活が大きく揺らぐ可能性もある。

大渕さんは、動物を絶滅から救うべき理由をとてもシンプルかつ明快に述べる。

かわいそうだから?苦しそうだから?いいえ、結局は人間のためなのです。

子どもに読み聞かせながら、親もきっと学べる一冊だ。こっそり読んでから、動物園に子どもと一緒に行って、命の大切さを教えてあげるのもいいかもしれない。

サムネイル:実業之日本社 / Kensuke Seya / BuzzFeed

バズフィード・ジャパン ニュース記者

Kensuke Seyaに連絡する メールアドレス:kensuke.seya@buzzfeed.com.

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