名古屋市は5月17日、名古屋城の外堀で外来肉食魚「アリゲーターガー」1匹を捕獲した。外堀にはもう1匹が生息しているとみられ、捕獲作業を続ける。
市が依頼したボランティア団体が、15日に釣り針のわなを仕掛けていた。17日夕方になって、1匹がわなにかかっているのを確認し、網を使って船に引き上げた。体長約1・4メートルで、体重30キロ超だった。
難航した捕獲作業
アリゲーターガーは北米原産で、ワニのような長く大きな口と鋭い歯が特徴。
市によると、初めて1匹が見つかったのは2009年。それから目撃情報は途絶えたが、13年に再び発見されて計2匹いるとわかった。それからボランティアらの力を借りた捕獲作戦が始まった。
他にもブラックバスやブルーギルなどの外来魚が堀にいるが、市民らの不安がアリゲーターガーに集中したのもきっかけの一つだった。堀の外の川に泳いで行ったり、魚であるため陸に上がったりする心配はないのだが、ワニのような風貌から「噛みつかれるかもしれない」と、その見た目が不安を募らせたのだ。
ところが、今回の捕獲までの道のりは長かった。堀は広くて深い。アリゲーターガーが非常に臆病な性格なこともあって、ピンポイントに狙って捕獲するのが難しかったという。
引き続き、残る1匹の捕獲作業をする。
「なぜ、いるはずのない生き物がいるのか考えて」
アリゲーターガーをペットショップなどで購入した人が川に放流すれば、在来魚を食べるなどして生態系を壊す危険がある。名古屋城の2匹も放流されたものと考えられる。
各地で被害が出ており、環境省は来年に特定外来生物に指定する予定だ。指定されれば、輸入や飼育、販売が原則禁止される。
名古屋市環境企画部主幹の後藤仁美さんは、「捕獲されたアリゲーターガーは何も悪くない」とBuzzFeed Newsに話す。
動物を飼うのであれば、命を終えるまで適切に飼育する「終生飼養」を守る責任がある。だから、特にペットを飼う人、飼おうと考える人にこう訴える。
「今回の捕獲をきっかけに、なぜいるはずのない生き物が、名古屋城にいたのかを考えてもらえれば、と思います。『自分で飼うよりも幸せになれる』は、絶対に違います」