出版大手KADOKAWA(東京都千代田区)は、2024年1月に発売予定だったLGBTQに関する翻訳書を発売中止するとともに、LGBTQの当事者に謝罪しました。
1月24日に発売予定だったこの本の書名は『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』です。
アメリカのジャーナリストであるアビゲイル・シュライアーの著書を岩波明さんの監修で翻訳したもの。原題は『Irreversible Damage: The Transgender Craze Seducing our Daughters』でした。
直訳すると書名は「取り返しのつかないダメージ 娘たちを誘惑するトランスジェンダーの流行」となります。
翻訳書はAmazonで予約が始まり、サイト上では「幼少期に性別違和がなかった少女たちが、思春期に突然“性転換”する奇妙なブーム。学校、インフルエンサー、セラピスト、医療、政府までもが推進し、異論を唱えれば医学・科学界の国際的権威さえキャンセルされ失職。これは日本の近未来?」などと内容紹介が書かれていました。
この本の日本版タイトルや、内容紹介についてSNSではLGBTQの当事者を中心に問題視する声が相次いでいました。
これを受けて、版元のKADOKAWAは12月5日、「ジェンダーに関する欧米での事象等を通じて国内読者で議論を深めていくきっかけになればと刊行を予定しておりましたが、タイトルやキャッチコピーの内容により結果的に当事者の方を傷つけることとなり、誠に申し訳ございません」と公式サイトに謝罪文を掲載。刊行を中止することを発表しました。
【KADOKAWAの謝罪文全文】
学芸ノンフィクション編集部よりお詫びとお知らせ
来年1月24日の発売を予定しておりました書籍『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』の刊行を中止いたします。
刊行の告知直後から、多くの方々より本書の内容および刊行の是非について様々なご意見を賜りました。
本書は、ジェンダーに関する欧米での事象等を通じて国内読者で議論を深めていくきっかけになればと刊行を予定しておりましたが、タイトルやキャッチコピーの内容により結果的に当事者の方を傷つけることとなり、誠に申し訳ございません。
皆様よりいただいたご意見のひとつひとつを真摯に受け止め、編集部としてこのテーマについて知見を積み重ねてまいります。この度の件につきまして、重ねてお詫び申し上げます。
2023年12月5日
株式会社KADOKAWA
学芸ノンフィクション編集部