東京・上野にある国立科学博物館(通称:かはく)が資金難に陥り、約500万点の標本・資料を維持するために目標額1億円のクラウドファンディングを開始しました。同館では過去最大規模になります。
今回の取り組みはクラウドファンディングサイト「READYFOR」で8月7日からスタートしました。募集期間は90日間です。寄付した人には、収蔵庫のツアーや標本のレプリカ、図鑑などの返礼品を予定しています。
同館の篠田謙一館長は10分間のメッセージ動画の中で、「ただでさえギリギリの運営体制だったわけですけども、昨今の光熱費あるいは物価の高騰が我々の活動に直撃いたしました」と苦境を打ち明けました。
莫大な数の標本は、収蔵庫の空調施設などの維持・管理に多額の資金が必要になります。資金難に陥ったことで、標本や資料などコレクションを増やしたくても断念したケースがあることを伝えました。
「かはく」を苦しめる3つの要因とは?
「READYFOR」の特設ページの中では、コロナ禍で入館者が激減したことを挙げた上で、「かはく」を襲った危機の具体的な状況について、以下の3つを列挙しています。
・物価高による保管容器や保存液(エタノールなど)等の高騰
・建築資材や人件費などの高騰による収蔵庫建築費用の大幅な増加
・光熱費の高騰(もともと億単位の額を要していたものが、2023年は、2021年と比べて約2倍の費用がかかる見込み)
これらの複合的な要因により、「自助努力や国からの補助だけでは到底追い付かず」という状況になったそうです。
篠田館長は動画を以下のように結んでいます。
🗣️「合言葉は“地球の宝を守れ”。この思いを胸に日本の自然科学を一緒に一歩も二歩も前に進めていきませんか」