「カナダの人々がニュースを入手できないようにする」FacebookとInstagramが異例の措置。地元発のコンテンツを全て遮断した理由は?

    地元メディア発のコンテンツを全て遮断する異例の措置を取ったMeta社。カナダ議会が可決したオンラインニュース法が関係していました。X社を率いるイーロン・マスク氏も思わせぶりな投稿をしています。

    カナダの人は、FacebookとInstagramでカナダ発のニュースが見られない。そんな異例の措置が始まりました。両SNSを運営するアメリカのMeta社が現地時間8月1日、「カナダのメディアが投稿したニュース記事へのリンクやコンテンツは、カナダ国内の人々は閲覧できなくなる」と発表したのです

    この措置は数週間かけて完了するそうです。一方、カナダ国外のメディアのコンテンツはこれまで通り閲覧できます。

    広大な国土に大自然が広がるカナダ。地元発のニュースが見れなくなれば、生活への影響は甚大です。一体、なぜこんなことになったのでしょう?

    カナダ国旗(左)とFacebookとInstagramのアイコン

    報道機関がバタバタと閉鎖⇒IT企業各社にコンテンツの対価を求める法律が成立

    この措置は、「オンラインニュース法」がカナダ議会で6月に可決・成立したことに伴うものでした。

    この法律はIT企業各社に対し、ネット上でコンテンツを使用した場合の対価をメディア企業に支払うことを義務付けています。この法律にIT企業各社から反発が広がりました。Google幹部もカナダ国内ではカナダのニュースをGoogle検索やGoogleニュースから遮断すると声明を出しています

    Meta社は今回の声明の中で、オンラインニュース法が「当社がプラットフォームで共有されるニュースコンテンツから不当に利益を得ているという誤った前提に基づいている」と反発。「カナダの人々がニュースを入手できないようにすること」が、法律を遵守できる唯一の方法と結論付けています。

    カナダ政府は「報道機関にとって歴史的に重要な収入源であった広告収入が急激に減少している」とした上で、2008年からの13年間だけで「約450の報道機関が閉鎖された」と今回の法律について説明。広告収入が減る中で、IT企業がニュースコンテンツに「タダ乗り」しているのではないか?と疑っている模様です。

    報道機関を守ろうとするカナダ政府と、対価支払いを渋るIT企業のせめぎ合いの結果、カナダの人々は地元のニュースをSNSで見られなくなるという悲惨な事態になっています。

    オーストラリアでIT企業の反発を受けて修正案が可決されていた

    同様の法律はオーストラリア議会でも2021年に提出されていました。このときは、Meta社(当時の名前はFacebook)とGoogleの反発を受けて、修正された上で可決。両社は法案成立前にオーストラリアの主要メディアと支払契約を結んだそうです

    イーロン・マスク氏が「カナダを愛してる」と思わせぶりな投稿

    FacebookのライバルであるSNS「X」(旧Twitter)を率いるイーロン・マスク氏は8月1日、「I ♡CANADA」( カナダを愛してる)と思わせぶりな投稿をしました。

    この投稿に添付された写真で、マスク氏が身につけているTシャツのロゴも話題に。「心がよどんでいるせいか、Canadaじゃなくて別のものにしか見えない」などの声が寄せられています。

    I ♥️ Canada pic.twitter.com/95321VIi8r

    — Elon Musk (@elonmusk) July 31, 2023
    Twitter: @elonmusk