子どもがコンセントの隙間にヘアピンや鍵を差し込み、感電する事故の報告が消費者庁に相次いで寄せられている。
体内を電流が流れると、やけどや体内組織の損傷をこうむる恐れがあるうえ、電流が心臓を通れば命を落としかねない。
子どもは好奇心旺盛だ。どのようにしたら事故を防ぐことができるのだろうか。
ヘアピンを、針金入りモールを
電流が体に流れてけがをすることは「電撃傷」という。
消費者庁などには、この電撃傷に関する事故情報が次のように寄せられている。
子どもがテーブルタップにヘアピンを差し込み、手指に線状の傷ができた。入院して心臓や内容に異常がないことを調べ、翌日に退院した。(3歳)
工作用の針金入りモールをコンセントの両穴に入れた。火花が出て手指に傷を負い、入院した。(6歳)
コンセントに指していたアダプターの電源プラグが浮いて隙間ができており、そこにスマホの充電ケーブルの先(端子)を入れ、火花が散った。親指の付け根が黒くなり、通院が必要になった。(1歳)
このほか、肌が濡れていた場合は体に電気が通りやすくなっているため、手や口でコンセントに触れることは大変危険だ。
電気製品の通電部を舐めて電撃傷を負う事故も報告されているという。
保育所で感電事故も……
保育所でも事故があった。
2017年6月13日付の毎日新聞によると、福岡市の保育所でも同年、2歳の女児が頭に付けていたヘアピンをコンセントに差し込んで感電する事故があった。
子どもの手が届くコンセントにはカバーを付けていたが、女児はカバーが付けられていなかったソファ裏のコンセントにヘアピンを差し込んでいた。
当時はソファの位置がずれ、コンセントに直接触れられる状態になっていたという。
女児は指に軽傷を負った。
東京消防庁も注意喚起
東京消防庁も過去、同様の事故に関して注意を呼びかけている。
同庁によると、2012年から16年の5年間で、1〜13歳の子どもがコンセントにヘアピンを差し込んだことなどが原因の火災は17件発生した。
年齢別では、3歳が5件と最も多く、2歳が4件、1歳と8歳が3件ずつと続いた。つかまり立ちやハイハイ、歩き回り始めた時期が多いという。
火災の原因となったのは「ヘアピン」が5件(35.7%)と最も多く、クリスマスなどで使う「装飾用針金入りモール」が3件などだった。
また、同庁が17年にツイートした実験動画を見ると、コンセントに差し込まれたヘアピンなどが火花をあげて燃える様子が映し出されている。
心臓まひにつながる恐れ
関係機関は次のような注意を呼びかけている。
- ヘアピンや鍵、クリップ、チェーンなど金属製の物を子どもの手の届かない場所に保管する
- コンセントには、子どもが容易に取り外せないタイプのコンセントカバーを設置する
- コンセントキャップを使用する場合は、誤飲防止のために外れにくい商品を選ぶ
- コードやプラグの破損や劣化によって金属部がむき出しになっている電気製品は使わない
なお、コンセントにふたをするコンセントカバーやキャップが対策として有効だが、誤飲の危険性もあるため、はずれにくい商品を選ぶ必要がある。
消費者庁消費者安全課の担当者は「感電で心臓まひを起こす恐れもある。子どもは『プラグは触ったら危険』ということがわからないので、大人が注意深く見守ってほしい」と話していた。