参議院議員選挙の応援演説をしていた安倍晋三元首相が男に銃撃され、死亡した事件。
選挙期間中のテロ行為とも言える蛮行に対し、近鉄大和西大寺駅の近隣住民からは憤りや恐怖、さまざまな声があがった。
10日前に同じ場所で演説をしていた安倍元首相と「2ショット」を撮影したという中学生は、「許せない」と語気を強めた。

事件の10日前の6月28日にも、安倍元首相は同じ場所で応援演説をしていた。近くに暮らす中学2年生の少年(13)は、その様子を見に行ったという。
「自分はユーチューブで国会答弁を見ているうちに、政治に興味が出てきた。安倍さんに会えるなんてなかなかないと思って聞きに行きました。話が上手で引き込まれて、最長の政権を保った安倍さんのすごさを感じました」
「帰り際、こんなチャンスはないと思って、安倍さんに駅で思い切って声をかけたんです。SP3、4人に囲まれていましたが、『写真撮ってください』と言ったら、すごい笑顔で『いいよ、撮ろう』と言ってくれました。大物議員なのに快く中学生の希望を叶えてくれて嬉しかった」
この日、2度目の訪問となった安倍元首相を襲った凶弾。少年は「安倍さんを襲撃した犯人はどういう意図で襲ったのかわかりませんが、本当に許せないと思います」と話した。
震える市長の姿も

一方、同じく近くに住む女性は、「バンバン!」という音を聞いて、外に出たという。現場についてしばらくすると、仲川げん奈良市長の姿があった。
市長は応援演説に参加しており、安倍元首相の近くに立っており、銃撃を間近で目撃したとみられる。
「手は震えていて、市長の目は赤くなっていた。私は市長を自分の息子のように思って。『怖かったね』と手と腰をさすってあげた。ありがとうございますと言っていました。こんなことが起きるなんて……」
演説を見ていたという別の女性は、「安倍さんの後ろからボンボン!と2発音がして倒れた」と当時の状況を語る。
「誰かが銀行からAEDを持ってきて、心臓マッサージをしていた。すぐに黄色いテープで封鎖され、誰も通れなくなった。緊張感が伝わって、とにかくドキドキが止まらなくなったので、すぐに帰りました。本当に怖い。暴力で何かをしようとすることは、絶対によくないと感じています」
「なんでこんなことを」

事件から約8時間が経過した現場では、報道陣があふれかえっていた。
花や飲み物が供えられ、スーツ姿の男性らが飲み物を置いたり、話を供えたりして手を合わせていた。
まだ事件当時の緊張感に包まれており、通行人らは「本当に安倍さん亡くなったんや」「なんでこんなことしたんだ」と話していた。