「その出会い、仕組まれていませんか?」急増するロマンス詐欺、だまされた時にすべきこと

    「恋心」などにつけこみ、現金をだまし取るロマンス詐欺の被害相談が急増しています。被害回復は困難なケースが多いため、注意が必要です。

    インターネット上で相手に恋愛感情や親近感を抱かせ、多額の現金をだまし取る「ロマンス詐欺」。

    周囲に打ち明けられず泣き寝入りするケースもあり、被害は氷山の一角とみられる。

    国民生活センターへの被害相談はコロナ禍以降に急増している。センターは「その出会い、仕組まれていませんか?」と注意を呼びかける。

    相談数が34倍に

    国民センターによると、ロマンス詐欺では、SNSやマッチングアプリなどで出会った「自称・裕福な外国人」から投資話を持ちかけられる。

    甘い言葉で誘惑され、恋愛感情や親近感を抱くと、実態のわからない投資サイトを紹介される。そこでの決済は仮想通貨や銀行振り込みで行われる。

    消費者金融から借金をして現金を用意する被害者もいるが、決済後は相手と連絡が取れなくなる。

    センターが受理したロマンス詐欺の被害相談は、コロナ禍以降に急増した。

    2018年度=2件、19年度=5件。20年度=84件。そして21年度(12月末まで)には170件と、コロナ禍前の19年度比で34倍になった。

    相談者の男女別の割合は、20年度は男性が70%(59件)、女性が30%(25件)だったが、21年度は男性が61%(103件)、女性が39%(67件)と、女性が占める割合が増えた。

    決済別では、21年度は仮想通貨が54%(92件)、銀行振込が38%(65件)などだった。

    2人の将来のために……

    国民生活センターに寄せられた被害相談はどのようなものだったのか。

    一つ目は、昨年10月に受け付けた30歳代男性の事例だ。

    マッチングアプリでシンガポール人女性と出会い、暗号資産の投資に勧誘された。20万円の取引で利益が出て、アプリの口座からも出金できた。

    その後も取引を続けていると、アプリ側から「マネーロンダリングに使われ、口座が凍結された。解除には4000万円が必要」と連絡があった。

    一部を支払ったが、結局出金はできず、女性とは音信不通となってアプリにもログインできなくなった。

    二つ目は、昨年11月に受け付けた30歳代女性の事例。

    マッチングアプリで韓国人経営者の男性と出会った。男性は「Baby」や「妻」と呼んできて、「2人の将来」のために投資をするよう言われた。

    はじめは少額投資で利益が出た。元金が多ければ儲けも多いと説得され、約500万円を使った。

    出金しようとしたところ、「保証金が必要だ」と言われ、支払いについて相談していると、急に連絡が取れなくなった。

    センターは、このような相談事例から手口を分析している。

    1. マッチングアプリが出会い系サイトで外国人などと出会う。
    2. 実際に会う前に、アプリやサイト以外の通信手段でやり取りしないかと持ちかけられる。
    3. 投資サイトを案内され、資金の送金を指示される。
    4. はじめは少額からの投資を勧められ、投資サイト上で一時的に利益が出る。
    5. さらに高額の投資をするように勧められる。
    6. 出金しようとすると、保証金や手数料、所得税などとさらに資金を要求され、送金しても結局出金できなくなる。
    7. 相手や投資サイトの運営者と連絡が取れなくなる。


    被害に遭った場合は

    【発表情報】 ロマンス投資詐欺に注意! 出会った相手から投資を勧められる手口にピンときたら、消費者ホットライン「188」に電話、または越境消費者センター(CCJ)のサイト(https://t.co/8WbH6kAn4c)から相談を! 詳細はこちら https://t.co/pePancgXEW

    国民生活センターのTwitterから

    被害に遭わないためは、どうすべきなのか。

    国民生活センターは次のように呼びかけている。

    「少額投資では出金できたのに、のめり込んで高額投資すると出金できなくなるケースが多い。アプリなどで出会った相手の指示による投資はやめましょう」

    「マッチングアプリの利用規約では、外部サービスへの誘導を禁じている場合もある。アプリ以外の連絡手段に誘導されたら怪しいと思いましょう」

    相手は対面することや電話で会話することを嫌がり、メッセージだけでやり取りしようとする傾向があることも特徴の一つだ。

    また、海外事業者も国内で金融商品取引を行う場合は金融庁への登録が必要なため、その確認は同庁のウェブサイト「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」で行える。

    仮想通貨交換業者の登録や注意喚起情報も、同庁のウェブサイト「暗号資産関係」から確認できる。

    一方、もし被害に遭った場合の相談は、消費者ホットライン「188(いやや)」や、センターのサイトで受け付けている。

    万が一、だまされて国内の預金口座に振り込みをしてしまった場合でも、振り込め詐欺救済法に基づく届け出を行える可能性があるという。